そして、彼が現れ、彼女が去る

京大受験を目指して力戦奮闘していたT君が来た。「このままでは終われません」という印象的な言葉とともに、もう一年、大学受験に励むことを誓った。LECシニアクラブver3.0を開き、彼の再起を全面支援することとなった。
神々よご照覧あれ、ひとりの少年がまっすぐに歩む道を!

という、いささかシビアなお話をしていたところ、親子三人の来客です、、、と残っていたKAZが02教室の小窓から顔を出して告げる、、、

ええ?と思って行ってみると、、、、

小学校5年生から4年間ご縁のあった新中3S嬢が、お父様のお仕事の関係で、関東方面へお引越しが決定。LECを旅立つ。
広大附属福山中学から、転居先の公立中学への転校ということになる。英語・数学に関しては、中学3年間分の学習をすでに終え、高校の内容を扱い始めた矢先だったので何の不安もないけれど、学区トップの公立高校入試はそれなりに激戦だから、思いもよらなかった高校入試に立ち向かうことになった。乗り越えなければならないハードルは少なくないだろう。
しかし、実は何の心配もしていない。附属中受験のときも、彼女は小6の10月までバイオリンのコンクールにチャレンジし、本選まで出場し入賞、附属も合格、という離れ業を演じて見せた。
豊かな感受性に裏打ちされた傑出した文章表現能力と、一を聞いて十を知る洞察力と認識力を兼ね備えた逸材であった。昨年一年間の模擬試験の成績では、中3クラスで中2の彼女がほぼトップを独占していた。このまま順調にいけば、4年後の大学入試がたいへん楽しみ、、、、というお話を懇談で申し上げてきた一年だった。すでに中2の2学期に英検準2級も取得済み、この6月には、強化プランさえ僕がしくじらなければ、まちがいなく英検2級もクリアできたであろう。
2月にお引越しのお話があってから、S嬢がLECからいなくなることを考えるたびに、ため息の出る毎日だった。が、数日前のこと、ふと思った。福山でのんびり淡々とすごすのも牧歌的で悪くないかもしれない。でも、引っ越し先で、切磋琢磨を強いられ、東京に近い分だけ、刺激的な情報に常時さらされるようになることは、ひょっとすると彼女のようなキャパシティの大きい子には、さらなる飛躍の契機になるのではないか、と。
「運命論」を持ち出す気にはなれないけれど、たぶん、彼女が自らの資質を上手に生かせば(それに対しても疑いは抱いていないけれど)、必ず環境の変化を自らの成長と発展に役立てることであろう、と。
この引越しは彼女にとって祝福すべきことであって、嘆くべきことではない。だから、にっこり笑ってさわやかに送ろう、と思った。
たとえ、心で泣いていても、ね。

Sさん、きょうまでありがとう。
お父様、お母様、お世話になりました。
一杯感動をいただきました。塾屋冥利に尽きる4年間でした。あらためて御礼申し上げます。
Sさん、これからも色々あるでしょうけれど、自分を信じて堂々と思うように生きていってください。きっと素敵な未来を手にできるでしょう。
健闘を祈ります。