彼女らの出撃

「どうしよう、もうダメェ」と、例年同様、悲鳴をあげながら、彼女らが出撃していった。明日は広大附属福山高校の入試。

「大丈夫だから」とだけ言った。

それだけの勉強はちゃんとやってきた。あとはふだんどおり、いつもどおりやるだけだ。

「先生、祈っといてな」

「ああ、とことん祈ってやる、ありったけの幸運がおとずれるように」

じゃぁ、明日、広大附属福山高校の校庭で会おう。

一晩寝れば、不思議と落ち着くもんだ。

 

市立福山中学の結果がわかった。

5名受験。3名合格、2名不合格だった。

 

全員合格をめざしていた。

2名の不合格者をだしたことをたいへん申し訳なく思う。

あゆんできた道のりは同じでも、同じようにコツコツ努力してきていても、結果は非情にわかれる。

塾屋には、どの子もその子なりに精いっぱい頑張り、伸ばすべき力を伸ばし、必要な能力を身につけていたことがわかる。だから、「よくやった」という言葉をどの子にもかけてやりたい。

爆発的な喜びも、消し去りがたい悔恨も、ともに訪れる。

自信を手にした子は、胸をはってぐいっと前へすすめばいい。

「残念だった」子はもう少し時間をかけて次のチャンスに頑張ろう。

人生は長い。やってきたことは必ずいつの日か花開く。それまでもうちょっと辛抱していこう。「本当によくやったんだから」