誠之館高校の合格発表から一日たった。
7名チャレンジして5名合格。2名不合格だった。
中学校の担任から、はっきり内申不足を言い渡され、別の学校を勧められていたにもかかわらず敢えてチャレンジした男子がふたりいた。
ひとりはもって生まれた土壇場に強い性格を発揮して大逆転の合格。
ひとりはあえなく涙にくれた。
塾歴3年の、報告に来た少年の両目から大粒の涙がぽろぽろこぼれていくのを止めることもできず、彼の手を握り、ただ「お前はよく頑張ったぜ」と言うのが精一杯だった。
お前に責任はない、指導に失敗したのは俺なんだから。
もうひとり。
塾歴6年の少年。くやしさを体全身にあらわし、嗚咽をこらえて言葉をしぼりだした。安全圏にはいなかったけれど、データ上では合格圏にはいっていただけに、かなわぬ夢と消えたことが受け入れられないのは当然のことだった。
「すみません」と彼が口にするたびに、「ちがう、あやまらなければならないのは、俺の方だ」と、不毛なやりとりを何度繰り返したか。
受験を指導したのはこの俺で、お前じゃない。
一日たった。
前を向こう。
新しい世界へ歩みだそう。
やるべきことはたくさんあるのだから。