広大附属福山中学
合格者 2名
午後4時過ぎ、メールがたてつづけに二つ。
「番号ありませんでした」のダブルパンチに深く沈む。
つらい。
電話が鳴る。
おそるおそる出ると、入塾の問い合わせ。
はぁ。
お母様と二人して自転車で附属受験の小6少女が登場。
教室からは表情が読み取れない。
ちょっと不安な面持ちで駐車場まで出て出迎えると、ニッコリ。
バンザーイ!
漢検で集合していた4年生たちもドアから顔を出して「おめでとう!!」
やれやれ。
「先生のおっしゃったとおりになりました。小4の入塾試験を受けたとき、『市立福山中と広大附属福山中の二校受験で二校合格するでしょう』というお話でした」
ふむ。そうでした。
あれから3年もたったんですねぇ。
午後5時、小5の授業開始。
算数のプリント解説。
附属受験の小6少女登場。
「ありませんでした」とぽつり。
「よく頑張ったよ。くよくよするな」と肩をポン。
つらい。
午後5時過ぎ。
車でお母さんと附属受験の小6少女が登場。
晴れ晴れとした表情がすべてを物語る。
駐車場でお出迎え。
小5の子らが窓から様子をうかがう。
ゆっくりとお話もできないまま、お祝いを述べてそそくさと教室に戻る。
するとつらいメールが着信していた。
お詫びの言葉もない。
これほど何の役にもたてなかったことはなかった。
どこかに村上の驕りがあったのか。
小5のやんちゃ坊主たちに、図形のまわりをころころ転がる円の通ったあとの面積の求め方を説明しながら、心がどんどん深く沈んでいく。
日も暮れる。
さらにどんどん沈んでいく。
午後6時過ぎ。
4時過ぎに不合格の報告をいただいたお母様から、「今『繰り上げ合格候補者通知』が届きました」とメール。
思わず、「おおおおおぉぉぉぉ!!!!!」と叫ぶ。
「待ってみます」とつづられた文字にこめられた思いが熱い。
電話よかかって来い、と祈る。
午後7時前。
「番号はありませんでした。今『繰り上げ合格候補者通知』はいただきました」と メールが着信。
合格を1ミリも疑っていなかった生徒だっただけに衝撃が走る。
ああ俺が油断していたせいか。
なぜだぁ。
鉄壁だったはずなのに、、、。
つらい。
ありうる夜。
しかし、想定外のことがまたも同時多発。
村上はよくよく洞察力にかけているのだろう。
暗い気持ちになっている子らは、このつらい夜をどう過ごしているのか。
うまくいかなかった子たちと共有している思いを、明日からどう糧にしていくか。
たぶん、村上は塾屋として鋭く問われているのだろう。
彼らの思いにどうこたえていくのか。
新しい模索がはじまる。
がんばろう。せめて、がんばることしかできないのだから。
明日からまた謙虚にひたむきに頑張ろう。
頑張っていれば、いつかきっといいことがあるから。