カープの快進撃が続く。
その快進撃が始まる前日。
「昨晩、お休みもらって神宮にいったんです。菊池選手のユニホームを着て初めてカープの応援をしたんですけど、すごい一体感でした」
「立ったり座ったりたいへんだったでしょ」
「はい、試合には負けたんですけど、もう、なんかめちゃめちゃ盛り上がって、、」
目を輝かせながら、彼はカトラリーを手際よく並べる。
「1回に菊池選手がデッドボールを受けたんです。周りの広島ファンの方が怒って何か叫んでんですけど、それが何言ってるか、ぜんぜんわかんなくて」
にこやかに語る青年は千葉出身。何度か利用するうちに顔見知りになった皇居に近いホテルのルームサービス係。なぜか「カープ男子」。たぶん、彼女の影響だろう。テーブルに並べられた料理を点検しながら、彼の話は止まらない。
「怒ってるっていうのは伝わるんですけど、ホントわからなかったです」
「うひゃうひゃうひゃ、広島弁のヤジね。東京の人にはわからないかもね」
「はい。友達と言ってたんですけど、神宮球場でこれだと、マツダスタジアムだとどうなるんだろうって」
「ふふふふ。おいでよズムスタに。楽しいよう」
と言いつつ、果たして、今年は何回いけることかしら、と思うと心にちょっと影が差した。
そんなことは露知らず、ホットな「カープ男子」の彼は、
「はい、ぜひ」と、決して営業用ではない、さわやかな笑顔をのこして退出していった。
カープの5快進撃は翌日から始まった。
さぁ、LECも五月攻勢だ!