新井さんとキク、スナフキンとムーミン。

 昨夜のヒーローインタビュー(クライマックスシリーズ第2戦、4-1で逆転勝ち)があまりにも美しくて、きょうまた見直してしまった。新井さんの「家族一丸となって」の名セリフは、何度聞いてもいい。

 そして、来年はこうした光景はもうないのだと思うとたまらなく寂しい。失われることを前提としているから、いっそう思い入れが募る。奇跡的に成立したおふたりのヒーローインタビューを見返したあと、ちょっとしたきっかけで、YouTubeのスナフキンとムーミンのやりとりばかりを集めた動画をみた。そして突然思いついた。「これって、新井さんとキク」

 動画には、悩めるムーミンに、スナフキンが辛抱強く暖かく道理を諭すシーンが繰り返し描かれていた。ムーミンのメンター(導師)としてのスナフキンは、キクにとっての「お兄ちゃん」そのもの。新井さんの言う「家族」が、チーム全員ならムーミン谷のメンバーは、いわばひとつの疑似家族。

 少年時代にムーミンの失敗や成長をみて子ども心に深い感動をあじわっていたのと同じように、今、日本一を目指すカープを日々応援している。たぶん、何も変わっていない。当時のカープは弱かった。とてもとても弱かった。強くなった今は、毎日がムーミン谷で暮らしているようなものかもしれない。

 カープの快進撃は、村上とってひとつのファンタジーなのだろう。