漢字検定の話

1月の漢字検定試験の標準解答が公開されて、自己採点をおこなっている。

 昨日のことだ。

 久しぶりに、小学5年生から漢検2級の合格者がでた。

 前回しくじっていただけに期するものがあったのだろう、彼女の嬉しそうな表情が印象深かった。

 「4級の壁」(知る人は知っているだろうけれど、5級と4級の間には暗くて深い溝があって、7級から順調に5級までステップアップしてきた子らが、4級で苦戦することが多い)にチャレンジした少年が二人。相互に答案を交換して採点していたところ、一人の子が合格ライン(140点)を突破。採点していた少年が本当にうれしそうに報告をおこなって、ニコニコする一方、もう一人の少年は、何度も何度も採点をやり直したあげく、私の所へ来る。

「先生、採点してください」

「君が僕のところへ彼の答案を持ってくるということは、彼の結果がよろしくなくて、自分でそれを告げるのは忍びないから、僕が宣告しろ、ということね」

「まぁ、だいたい、そんな感じです」

答案用紙をみると確かに138点、2点たりない。

少年が、自分の合格を喜んでくれている友人に、残酷な結果を告げたくないという優しい心情に、たぶん、嘘はない。いつも子犬がじゃれあうようにつるんでいるふたりだから。

ニコニコ少年と優しい少年の間に漢字の実力差があるか、と言えば、ほぼない。過去1年を振り返って、それは確かなことだと言える。しかし、試験結果は、今回、明暗を分けた。まぁ、そういうこともある、というしかない。

 次の結果(6月)、次の次の結果(8月)と、漢字検定試験は延々と続いていくのだから、一回ごとに一喜一憂するべきではない。反省するべきところは反省して、またチャレンジすればいい。

 私たちが、求めるべきは、打たれ強く、辛抱強く、向上心を持ち続けるメンタリティにほかならないのだから。