ひとつひとつ語り始めると、とても長い話になる。
それを短く語る技量がないので、何も書けなくなることが増えた。
ブログの記述が減ったのはそのせいだ。
「馬鹿だな、歳のせいだよ」、と友人のMなら言うだろう。
「歳をとると断定できなくなるんだ、思慮分別が増したわけじゃない。
判断力が鈍ってだな、何もかもどうでもよくなるんだ。ニグレクトさ」
そうかもしれない。老化現象にすぎないのだろう。
とりあえず、備忘録がわりに記述しよう。
広大附属福山中の合格発表から一夜明けて、朝日があかるく差し込むリビングで、不合格だった生徒に、「繰り上げ合格候補」通知が届いていることを知った。返信を書くのに時間がかかった。過去の事例が次々を思い起こされ、封印していたさまざまな思いがよみがえってタイピングがすすまない。
午後1時前、塾につくと、2月学力テストに集まった中1・中2の生徒、十数名が「遅いぞ、村上」といった顔つきで待っていた。小6の生徒たちは、むしろ「いつも通りじゃん」という雰囲気だった。どちらも正しい。
中1の学力診断テスト、中2の学力診断テスト、中2のアドバンステスト、中3の公立高校過去問演習、小6の中1準備授業が一斉に始まった。少しずつ時間をずらして始めれば、この大混雑は避けられたのに、と、四つの教室をぐるぐる回りながら反省した。決められた手順を生徒たちが熟知しているので、時間になったら答案が回収され、次の教科の問題がくばられ、タイムキーパーが手際よく時間をセッティングして、リ・スタート。よくできた子どもたち、手がかからない、この自律性をどう学習に生かすべきか、もっと真剣に考えられてよいよなぁ、と思う。
小6はすこぶる快調に中1の内容を消化してゆく。頭の良い子たちだ。ここまで来るのにずいぶんかかったようにも思うけれど、立派な成長だ。
やがて小6の生徒は、小4の生徒と交代。きょうから新人が初参加。目をくりくりさせ、上気した表情で、発表のたびに立とうとする。「塾はすわったままでいいんです」一生懸命さが初々しい。
授業なかば、窓の外に見慣れた中学3年生、そこで、やっと広大附属福山高校の合格発表時刻を過ぎていたことに気づく。
教室から出て、「おい、どうだった」「ダメでした」の返答に絶句。合格を確信していただけに言葉が出てこない。かける言葉がない。情けない。
気丈にふるまう彼女と別れて、授業にもどる。無力感・虚脱感・敗北感がどっと押し寄せ、我を失いそうになる。
「くじけない、くじけない」とつぶやきつつ小4の授業をする。小4の生徒が「どうしたんですかぁ」と無邪気に突っ込みをいれてくる。簡単に説明する。「くじけない」とリフレインしていると歌になってしまう。「それなんですかぁ」と再びつっこみ。「これはね、くじけないの歌」(そんなものあるか、と心の中でおもいつつ)淡々と授業。
すると、合格発表報告に現れたふたりめの生徒。「受かってました、信じられません」を聞いて、祝福の絶叫が出る。大健闘の一語に尽きる。教室にもどると、「なんですかぁ」とまた突っ込み。また、簡単に説明して授業続行。中学1,2年生のテストも滞りなく終了。自己採点結果は、全体的に前回よりは少し回復したように思えたが、課題は山積み、アルプス山脈並、ため息をこらえる。中3の過去問結果はほどほど。なんとかなりそうなデータもあれば、そうでないデータも。ひとりひとり講評を述べて、明日9時からの演習を確認。
結局、広大附属福山高校入試は、四人受験、ひとり合格、ふたり不合格まで判明して、日が暮れた。
夜、事務作業中に、デスクトップにメール。不明のひとり、中3生、不合格と繰り上げ合格候補の文字。くやしさがまた湧き起こる。きょう何度目かのため息。またつぶやく「くじけない、くじけない」。
授業終了。きょうも終わりと思いつつ、最後のメールチェック。
高3生からメール。「だめでした」
膝からくずれ落ちそうな衝撃。
しぶとく立ち向かうと返信。
長い長い一日は、妻にハーゲンダッツのチョコバーを買ってかえるミッションで幕を閉じた。
短く語るには、出来事が多すぎた。
酔っぱらってしまえば、ブログを書くこともなかったかもしれない。
そんな日々もあった。
酔っぱらわずに寝るには、少し時間がかかった。
切り替える。
今夜も切り替える。
たぶん、明晩も切り替える。
毎晩、翌日のために切り替える。
一晩寝れば、かならず事態は好転している。(コリン・パウエル)
みなさん、おやすみなさい。
明日もがんばります。
くじけるものか。