そんなこともあるよね

午後6時からの野球中継をテレビで見る気はあまりなかった。カープとジャイアンツの3連戦の3試合目。勝てる気がしなかった。

運は一昨日の試合で使い果たしている。G-C 1-11で快勝した。0-6になった5回の時点で、

「もう十分だ。あとは明日に取っといてくれ」

とテレビ画面に頼んだが、遅かった。佐々木君や矢野君までがホームランを打った。「長いシーズン、こんな試合もあっていい。でもこの反動は覚悟しておこう」

ひとり、呟いた

昨日、やはり、いやな負け方をした。ジャイアンツの名前も知らない若手の選手たちにいいように活躍されてしまった。

そういうわけで、今日もろくでもない展開になるにちがいなかった。途中でテレビを消してパソコンに向かうことになるだろう。

しかし、どんなに負けていても、妻はあきらめない。とんでもない展開を夢想して僅かばかりの希望をつなぐ。根っからのロマンチストだ。僕は違う。リアリスト成分を大量にもつ。冷静に考えて見込みがないと思えば席を立つ。当然、妻の非難を浴びる。それを避けようと、カープの勝ち目の薄い日は、いつの頃からか鼻から見ないようにしている。

ところが、解説者のひとりが黒田さんと知って気が変わった。カープの偉大なレジェンド、男気の人。見なければなるまい、と思った。黒田さんの解説が特別うまいとは思わない。心のふるさと、安仁屋さんよりは上手だと思うけれど、もっとうまい人はたくさんいる。黒田さんや安仁屋さんは解説がうまい・下手を超越した存在になっているというべきか。一緒に試合を愛でる機会があればいい。試合に勝てばもっといい。たぶん、僕はそういう気分で黒田さんや安仁屋さんの解説を聞いている。

そして、今晩、試合はジャイアンツペースで進んだ。カープの初ヒットは7回表の平川君まで待たなければならなかった。代打のモンテロ君に期待したが、凡打に終わった。7回裏、復調途上の森浦君が、必殺のチェンジアップをレフトスタンドに運ばれた。失投だった。2-0。「試合の流れ」はジャイアンツにあった。

8回表、秋山君がフォアボール。大森君はレフトフライ。菊池君もレフトフライ。小園君がフォアボール。ツーアウト一二塁。四番、坂倉君。スリーボールになった。そして四球目。150キロのストレートが真ん中に。坂倉君が迷わず振り抜くと、打球はライトスタンドへ。

「はいった!」

僕は、思わず叫んだ。半径300メートルに届く絶叫だった、と妻が笑いながら教えてくれた。

八回裏はハーン君、九回裏は中崎君がジャイアンツを0に抑えて、2-3でカープの逆転勝利に終わった。

こういうこともある。

セラヴィ。