さすがに

 正月も三日目になると、小学生たちも落ち着きを取り戻し、必要とされる集中力と持続力を発揮し始めた。やれやれ、である。これでこの土日の試験も無難に乗り越えてくれるだろう。入学試験では、ふだんどおり、いつもどおりやればよい、と語った。
 そうは言っても、家族から「がんばるんよ」とか励まされてしまうだろうけれど、それはもうお約束だから聞き流せ、と言っておいた。親の思いは子とは別のところにあって、抑えがたい情念を抱えて子の試験を迎える以上、パセティックな感情に発言が彩られても、それはそれでよい、と思う。それが親の役割であろう、とすら思う。
 塾屋は、地を這い、水をくぐり、火の粉を浴びて、必要な準備を最後まで行う。必要があれば何度でも、あきらめ悪く、しぶとく、やり続ける。今年もまた、最後の悪あがきをする時が来た。