深まりゆく秋

03教室は高3男子5人の世界となって、村上は遠慮がちにコーヒーをとりにいくだけとなった。

中1飛び級組が英検3級の過去問演習に取り組んだ。あっさり合格基準点をこえた。4級の試験でほぼ満点に近い得点をとっていたので、何とかなるかしら、とは思っていたが、楽々クリアできる点数が出るとは思わなかった。中2には、基準点に満たない子がきょうは2人出た。そもそも3級に挑戦すらできていない子が3人もいる。

複雑な気分だが、現実はシンプルだ。気分に左右されると、複雑な対応を迫られて話が込み入ってくる。現実をきちんと受け入れれば、指導はたいへんシンプルに行われる。

怜悧にものごとをすすめてよい部分もあれば、そうでない部分もある。たぶんバランスのとり方が問題なのだろう。

港町周辺を車で走っていたら、かなりや幼稚園の運動会が行われていた。娘がはりきってかけっこをしていたのが、つい昨日のことのようだ。やれやれ、たぶん、村上の頭のどこかで時間が止まっていて、現実に追い越されてしまっているのに気づいていないようだ。

目の前にある解決しなければならない問題に、現実的な解を求めること。塾屋がしなければならないことは、いつだってシンプルなはずだ。