キター!

 塾には4時過ぎに着いた。

 高3男子が黙々と自習していた。

 「ウォッス!」

 彼の邪魔をしないように、準備にとりかかる。

 

 パソコンでメールの確認おこなっていると、電話が鳴った。

 どきっとしつつ受話器をとると、新中1の入塾希望の方だった。

 新中1は、定員枠いっぱいいっぱいで、、、という現状説明からはじまって、クラスの概要説明にさしかかったとき、窓の外に見慣れた車。

 小6G子だった。

 広大附属福山中学繰り上げ合格候補者となって4日目。

 宙ぶらりん状態。

 いつも伏目がちのおとなしい子が、きょうは明るいまなざしで助手席からこちらを見ている。

 えっ、ひょっとして、そうなの?

 電話で話をしている方にはたいへん失礼だと思ったけれど、我慢できなかった。

「ちょっとすみません」

 無理やり話を切って、受話器は机に置いたまま、走った。

 G子がA4のクリアファイルを片手に05教室に走ってくる。

「来た?」

「来ました」

 手に持っているのは、合格証!

 うぉおおおおおおおぉおおおおおおお、おめでとう!

 お母様も喜びの輪に加わって歓喜爆発。

 お祝いの言葉をどう述べたのか、記憶がない。もう嬉しくて、嬉しくて。

 本当は、彼女がどんなに頑張ったか、ゆっくりお話をするべきだったのだけれど、それはまた別の機会に譲って、電話にもどった。

 「ああ、すみません、中1の曜日と時間でしたね、、、、、」

 (ホントにすみませんでした。いったん切ってかけなおすべきだったと反省しています。入塾案内の時にあらためてお詫びもうしあげます)

 

 春は確実に近づいている。

 今なお宙ぶらりんの子たちに、どうか春がやってきますように。