考察:入塾案内

 入塾案内にマニュアルはない。
 マニュアルがないので、いつもその時の雰囲気で内容が濃くなったり薄くなったりする。
 おかしな話だ。
 説明しなければならないことは必ずあって、限られた時間内(30分)で限られた話しかできないとすれば、だいたい同じ話になるはずだ。塾のあり方は変わっていないのだから、どなたに対しても同じ説明をする責任があるはずだ。しかし、そうはなってない。たぶん、村上のいい加減な性格が原因だろう。失敗したな、と思うときもあれば、成功したな、と思うときもある。
 毎回成功するように、「必勝入塾案内成功完全マニュアル」でも作ればいいんじゃないの、と他人事のように考えることはあっても、その気になれない。新人の塾講師を育てなければならない役職にあるわけじゃなし、ネタに困った業界紙の記者でもなし、、、
 (塾業界にも、塾経営者対象の業界紙があって、ご丁寧に「勝ち残るための必須情報」が書いてある。時々、教材会社の方がコピーをくださるのだけれど、信頼できる記事は多くない。例えば、「彼のハートをつかむ12か条」という若年女性対象の記事が、「保護者の信頼をつかむ12か条」になったようなものだから、と言えばおわかりいただけますか?)
 そもそも入塾案内の負担を軽減するために、このブログをたちあげたようなもので、塾の様子がわかり、村上の人となりが読んでわかるようなブログにしておけば、いちいち説明するまでもないだろう、という安直な考えをもっている。
 入塾案内書にしてもそう。こまごまと意見や考えを書き込んでいるのも、案内の手間を省くためにした。
 ところが、一向に入塾案内の負担は軽減しない。まぁ、ちょっと考えれば当然のことで、実際に訪れて場所を知り、会って話して人を知ることを抜きにして塾選びはできまい。そもそも文章に書かれている事柄を鵜呑みにはできないだろう。また、いくら読んでもわからないこともあるだろう。ブログを全部読みこみ、入塾案内書を丸暗記しても、LEC進学教室検定で1級に合格することはできない。せいぜい4級どまりだろう。
 (LEC進学教室検定とは、年一回おこなわれ、LEC進学教室を実用的に活用するための正確な知識を正しく身につけているかどうか検査する試験で、難易度によって1級から5級まで、、、<(_ _)>すみません、嘘です、そんなものはありません、要するに、LEC進学教室の中身はそう簡単に外からはわからない。いや、中にいてもわからない(苦笑))
 だったら、ブログも入塾案内書も無駄かと言うとそうでもない。
 ゆるやかな変化は感じる。ブログでさんざん書き散らしてきたおかげか、授業中に電話をかけてきて、いきなり「授業料と時間割を知りたい」旨、おっしゃる方が減ってきたように思う。
 こういう電話をかけてくる方に申し上げたい。
 かけた相手が授業中だった場合、恐ろしく迷惑をかけることを1秒でも考えたことがあるか、と。いくら消費者主権だからといっても、「今、よろしいでしょうか」という配慮があってもよろしいんじゃないでしょうか。顧客に対して何だ、という方もいらっしゃるかもしれませんが、すみません、そこのところよろしくお願いします。
 そもそも、そういう電話は保護者を装った同業者の情報収集と誤解される可能性が大きい。わざわざ受信データを遡行して発信元を突き止めるたわけではないので断定はできないけれど、本気でもないのに探りを入れているような「嫌な感じ」の電話が確かにあるし、いかにも保護者然として本気っぽく装いながら、情報だけ得ようとしている「もっと嫌な感じ」の電話すらある。
 そうは言っても、会って話すのは面倒で、電話の説明で条件が合わなければそれでOFF、という方もいらっしゃるだろう。そういう方には、あとで電話をかけなおしていただくようにお願いすることにしている。だったらタウンページに初めから受付時間を明記しておけ、という方もいらっしゃるだろう、すみません、今、思いつきました(笑)。来年度版の原稿はもうかえられません。再来年度版から記載します。
 ここまで読んでいただいているかどうか不安ですが、
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【入塾案内の電話受付時間】 平日 午後4:00-5:00
 ただし、来客中・補充授業中の場合は、おかけ直しをお願いするときもあります。(土・日は多忙のため問い合わせをご遠慮しています)
 電話連絡が面倒な場合はメールをお寄せください。
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 うーん、問い合わせが激減し、LEC衰退の端緒をつくるか。それならそれでかまわない、と言っておこう。と言うのも、そもそも「激減」するほど、問い合わせがあるわけじゃないから(苦笑)
 
 そうね、困るほど問い合わせがないから、マニュアルなんていらないし、作る必要性もない。
 多少いい加減でも、あるがまま、状況次第の入塾案内でこれまで何とかなってきたし、たぶんこれからも何とかなるだろう。
 失敗も多いけれど、マニュアルでリスク管理できるとも思えない。その時点におけるあるがままの案内で失敗したのであれば、それまでだ。粉飾したり、隠ぺいしたり、ことさらよく見せようとしたところで、指導がはじまればあっという間に馬脚を現す。バイトじゃないから無責任に「いらっしゃいませ、こんにちはぁ、何になさいますかぁ」と笑顔で応対するわけにいかない。そもそも「メニュー」はさまざまだ。
 子どもはひとりひとりみんな違う。どの子にもあてはまる一般的な指導と、その子に応じた特有の接し方は、指導してみないとわからないことが多い。だから、マニュアルなんてそもそも作れるはずがない。お話を伺いながら、求めていらっしゃるものを推測しながら、お話をしていくことになる。「よりよい入塾案内マニュアルで塾好感度アップ!顧客を必ずゲット!」という商業主義的発想から、どれだけ身を遠ざけていられるか、で、LEC進学教室の存在価値が決まるように思う。