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13歳は二度あるか―「現在を生きる自分」を考える

13歳は二度あるか―「現在を生きる自分」を考える

13歳は二度あるか―「現在を生きる自分」を考える
 詩人であり思想家であり、文芸評論家であり、その著作を通して、僕の20代を導き、30代を励ましてくれた吉本隆明。彼が、13歳の子ども向けに”「現在を生きる自分」を考える”本を書いていたなんてまったく知らなかった。(発行は2005年9月30日)
 ふだん僕が授業中に授業を脱線して、社会や世界や歴史を、宗教や文化を語る時のエッセンスが、すべて凝縮されている本だといってもおかしくない。読みながら、僕が無自覚にどれほど深く吉本隆明に影響されていたか、実によくわかった。
 そして、意味もなく、泣きたい気分になった。吉本隆明の切々と語る静かな口調のそのむこうに、大きな大きな哀しみがあることが伝わってきたから。それは、たぶん僕自身が抱えていた哀しみでもあるから。とか、言うと、「バカヤロウ、テメエなんぞと同じ次元でくくられてたまるか」って怒られそう。
 LECの中学生なら理解できるかもしれない、高校生ぐらいならちょうどいいかも。ちょっとまじめに世の中のことを考えたいときに、必ず役立つ本です。僕がもし10代にこの本に出会っていたら、もっと豊かな20代を生きられただろう、と思う。とか言うと、「バカヤロウ、テメエの思索が浅いことを棚に上げて、勝手に自己憐憫に耽るな、甘ったれ!」と、また怒られそう。
 ああ、久しぶりに「吉本」を読んだよ。そんな気分。