小5の講習会が

 始まったら、例によって、テキストの事前学習不備がゾロゾロ出てくる、出てくる。
 しょっぱなの算数から、一発退場を喰らった少年に始まって、国語の漢字調べがぜんぜんできていない少年、社会・理科のテキストを忘れたという少女、社会の地形図調べができていない少年と、レッドカードの乱発とあいなった。
 理科の始まる頃には、「なんか淋しいなぁ」という声もあった。なんということだ。
 FIFAワールドカップドイツ大会で、主審を務めた上川氏の理想は、「笛を吹かずにすむゲーム進行」(危険行為を未然に防ぐ審判)だという。危険なプレーの応酬で、ゲームが雑になって荒れる前に、選手たちに毅然とした態度を示して自覚を促す。笑顔で共感と理解を示しつつ、整然とルールにもとづいたプレーを行うよう求める。つまり、ラフプレーの予防に意を用いたそうだ。 決勝トーナメント、3位決定戦で、ジャッジに不平を示していたドイツのシュナイダー選手に、敢えてゲームを止めて話しかけ、冷静さを求めたシーンが印象的だった。
 退場者の出ないゲームと退場者の出ない授業、国際審判員と塾屋、エキサイトしすぎて危険なプレーをしてしまう選手と、くじけてさぼる子どもたち。比較しようがないことはわかりきっているのだけれど、怒鳴り散らし、怒り狂い、説教し続ける不毛な講習会にはしたくない。彼、彼女らの魂にはたらきかける方法を今一度再考しなければなるまい。