「先生!書きましたよ」

 ということで、美術の期末試験で、ピカソの名前を答える欄に、彼は、本名を書いた。
 以下の通り。(出典はウィキペディア)

〈パブロ、ディエーゴ、ホセー、フランシスコ・デ・パウラ、ホアン・ネポムセーノ、マリーア・デ・ロス・レメディオス、クリスピーン、クリスピアーノ、デ・ラ・サンティシマ・トリニダード〉

 たまたま彼のまじめな質問に答えるために、ネット検索をしていて見つけた話をプリントアウトして渡すと、俄然目を輝かせて、「テストにでたら書きます」とノタマウ。「やめとけ」と、言えばよいものを、笑いながら「本気かよ」と半分煽るようなことを言ってしまって、この顛末。まったく、大切な提出物は平気でひねりつぶし、催促の電話を受けても踏み倒すくせに、こうしたイタズラには異常に熱心になる。頭のよさと活力を間違って使っているとしか思えない。思えないけれど、おもしろいから、まぁいいかって、つい甘く受け入れてしまう。いかにもLEC的な話。