小6の理科

 「じゃがいも」について話をした。芽には毒がある、取り除いてから食べる。という、きわめて常識的な事柄を口にすると、「お母さんに教えてもらった」と、ある生徒。「僕も」と別の生徒。
 実に正しい。「じゃがいも」の芽に毒がある、というのは、台所か食卓で母親が直接子どもに語りかけるべき知識以前の知識であろう。
 いや、それは塾屋の独善か。自然に触れる機会の少なくなった子どもたちから、いっそうその機会を奪っている張本人が、「自然に触れることは大切だよ」と語らなければならない皮肉。その矛盾を家庭に押し付けて、自分だけ偉そうに喋るのはやっぱり傲慢か。
 次の授業には「じゃがいも」を用意しよう。目の前で切って見せよう。そう、ここに来る前には、大家さんの畑に、生徒みんなで「じゃがいも」を植えて、収穫した「じゃがいも」をポテトフライにして「じゃがいもパーティ」を開いたりしたこともあった。LECも今の半分くらいの規模で、なんか牧歌的な雰囲気が濃厚にあったなぁ。でも、あの頃がより健全で、今がより不健全だとは思わない。のんびりした雰囲気ではなし遂げられないこともあれば、厳しい雰囲気では味わえない体験もある、ということだろう。子どもたちに賢くなってもらいたい、頑張って自信をつけてもらいたい、という塾屋の思いはぜんぜんかわっていない。だから、LECそのもののあり方は何もかわっていない。そして、たぶん、今後も変わることはないだろう。