- 作者: 斎藤美奈子
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2001/09
- メディア: 文庫
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この夏、東京にいたときに、「趣味は読書。」を読んでゲラゲラ笑わせてもらった。あんまりおもしろかったので、娘にやった。毒があって鋭くて、刺激的な人を紹介してくれ、と頼まれていたので、ぴったりだと思った。その後、娘の感想は聞いていないけれど、先の本は書評だったので、元の本を読んでいなければ、そのおもしろさがわからないかもしれない。で、この本は、アニメと伝記に登場する女性の描かれ方を細緻に分析し、そこに潜むじつに愚かしい性的固定観念を木っ端微塵に打ち砕く、痛快無比の書。これも該当するアニメや伝記を観て読んでいなければ、その絶妙の比喩と定義がもつ破壊力を堪能できないのだけれど、僕はほぼ1ページごとに笑えたから、40歳以上で多少なりともアニメを見てきた人間には楽しめる、と同時に、知らず知らず受け入れてきた「男の子の国」と「女の子の国」が自分自身の考え方の中に牢固として根を生やしていることを苦く思い知ることにもなる。この秋は、読む本に困ったら斎藤美奈子、そう思っている。