久しぶりにMINIのこと

先日、南蔵王の文具店「オレンジ」に寄った。駐車場の「軽」マークのエリアに、「MINIは軽よりちいさいよぉ」と、無邪気に無防備に頭からつっこんで停めた。買い物も終わり、バックに入れて下がろうとすると、車が反応する前に、およよ、車が前にすすみ、カクンと頭を下げて停止、いやな予感がしたときには罠にはまっていた。駐車場の停車位置のほんのわずかな傾斜が僕のMINIには致命傷だった。リアのギアが極端に弱いので、パーキングをはずすと前方傾斜にすべって、前輪のタイヤが後輪よりも15センチほど沈んだ。それだけで、もう抜け出せない。アクセルをどんなにふかしても、4000回転を超えても、油のこげた臭いと馬鹿でかい騒音を撒き散らすだけで1ミリも動かない。意を決してエンジンを切り、ギアをニュートラルに入れて、車の前方にまわって渾身の力をこめて押した。わずかにバックするけれど、ほんのわずかな傾斜を越えられない。反動をつけながら、押して引いて押して引いて、エイヤっとばかりに押すけれど、越えられない。腰にピリッと痛みが走る。嗚呼。絶望の黒いしみが心をどんどん蚕食するけれど、打つ手がない。お店の人に援軍を頼むのはみっともないし、通りがかった人に声をかけるのもためらわれて、遂にとうとう困ったときのJAFに電話した。30分ほどしてやってきた若きJAFマンと力を合わせて、MINIを1mほど移動。なんのことはない。1分で解決。「この車の駐車にはコツが必要ですね、でも早く修理工場へ持って行かれたほうがいいですよ」と、もっともなアドバイスを頂き、心深く同意して、感謝の言葉を述べた。「コツ」なんてものはいらない。とにかく水平な場所に停める、どんなことがあっても、後輪より前輪が低い位置に来る場所には絶対に停めてはいけない、それだけ。どうして、あの瞬間にその掟を忘れてしまっていたのか、ニャロメ。後悔と反省と、腰の痛みが残った。