帰ってきた受験生(中学3年生)

 初日に5教科の試験。二日目に面接。一泊二日の入学試験を終えて、彼が帰ってきた。
 食玩戦車のコレクション(ティーガーⅠ型、ヤークトティーガー、ファイアフライ、三号突撃砲もあったかしら)を残らず譲渡して慰労した。聞けば、中学入試のときも、88mm砲のセットを渡していたらしい。(僕は、この三年何も変わっていないわけだ。)
 彼の人生をかけた乾坤一擲の勝負だった。身も心もクタクタであることは傍目にもあきらかだった。因島八朔をふたりで分けて、なぜというわけでもなく、しみじみと食べた。
「明日レタックスが来たら、塾まで持ってきて開けます」
「やめてくれ、俺を殺す気か、、、いや、分かち合うべきか、、、僕たちは共同正犯だもんなぁ。俺がそそのかして、君が実行した、、、。わかった。伝説を作ろう。LEC legend makers だ」
 いつものように、僕たちは、敬礼してわかれた。