休暇中に、やっと「ダ・ヴィンチ・コード」(上・中・下)角川文庫 を読んだ。久しぶりのミステリだったけれど、スピーディな話の展開とちょっとご都合主義の安易なプロットで、軽快にページが繰られてしまった。ひょっとして原文で読むと、あの謎解きや、言葉遊びがもっと堪能できたのかも知れないけれど、訳された分だけ興趣が削がれていたのだろう。その昔読んだウンベルト・エーコの「薔薇の名前」の方が、重厚かつ刺激的で読後感もズシーッと来た。キリスト教の暗部に巣くう異端審問や、異教弾圧の恐怖が生理的に伝わってきたように思う。暗号解読にしても、サイモン・シンの「暗号解読」を思うと、なぞなぞ遊びで喜んでいるみたいで、どうも、精神的な緊張度が不足、いや、欠如している、と思う。ただ一点、絵画の象徴的解釈に関する薀蓄は、素晴らしく面白かった。そっちの専門書を本気で読みたい、と思った。だから、絵画図版のたくさん入った単行本で読んだらもっと楽しめたかも。ルーブル美術館にはいつか必ず行って、逆ピラミッドを見てこなければなるまいね。もちろん、「モナリザ」と「岩窟の聖母」も。ということで、暇な高校生におすすめの本です。

ダ・ヴィンチ・コード 上・中・下巻 3冊セット

ダ・ヴィンチ・コード 上・中・下巻 3冊セット


薔薇の名前〈上〉

薔薇の名前〈上〉


暗号解読―ロゼッタストーンから量子暗号まで

暗号解読―ロゼッタストーンから量子暗号まで