最近読んだ本 

99・9%は仮説 思いこみで判断しないための考え方 (光文社新書)

99・9%は仮説 思いこみで判断しないための考え方 (光文社新書)


 思いこみで判断しないための考え方 という副題で、1960年生まれの猫好き科学作家が、科学上の仮説が検証されて、否定されたり肯定されたりした例をあげながら、いかに人が先入観や固定観念に縛られやすいか、解き明かしてくれる本。たいへん読みやすく、わかりやすい。時に、くどいほど。
 読みながら、どこかで、トマス・クーンの「知的パラダイム」が引かれるだろうなぁ、と思っていたら、最後まで出てこなかった。「変だなぁ」という、小さなわだかまりをひきずりながら、参考文献をみていて気がついた。ポール・ファイヤーアーベントを「敬愛する」のであれば、論敵のクーンを出すはずはないよね。まぁ、それはいい。
 中学入試の説明文問題必出の本ですね。小学6年生は、ぜひ、頑張って読み通しましょう。科学史の知識も増える。興味が湧いたら、子供向けの伝記でよいから、ニコラウス・コペルニクス、ガリレオ・ガリレイ、アイザック・ニュートン、アルバート・アインシュタイン、の4人は読んでみよう。ああぁ、湯川秀樹さんも、ね。
 僕は小学校二年のときに、湯川秀樹の伝記を読んで、将来は科学者になろう!って思っていた。その本の表紙の裏の挿絵は、確か、庭の石の上で横になっている、兵児帯を締めた湯川少年が、木の葉の先端からしずくが落ちてくるさまをみて、「なんてきれいなんだろう、あのきらきら光るしずくは何でできているんだろう」って疑問に思った情景で、そのときの疑問が、後年、ノーベル物理学賞を日本人で初めて受賞することになった中間子理論のもとであった、という、よくあるロマンチックで無茶なこじつけだったことを、今、久しぶりに思い出した。僕について言えば、科学者になる夢はどこかに消えちまったけれど、塾屋になる夢はカタチになりつつあるから、まぁ上出来であろう、と、今夜は言っておきたい。