最終クラスの授業を始めようと

 すると、室温が26度。高校生9名相手に、英語をガンガンやったら絶対バテる、と思って、表のドアを少し開けて授業をした。一月ほど前から試しているやり方で、蒸し暑いときには、ちょっとした微風がたとえようもなく嬉しい。今夜は確かに足元はスゥスゥするのだけれど、とうとう室温は24度を切ることはなかった。室温の変化を期待できないのであれば、体感温度を落とせばいい、と思った。脂肪を落として、保温能力を下げ、体重を落として、心臓の負担を軽くすれば、血圧も下がり、体温も下がるのではないかしら。そうすれば結果的に体感温度も下がるはず。
 ウエストを5cm縮めれば、生徒が5人は増えると、家人に言われて、「なるほど」と思ったけれど、あまり生徒集めに熱心でないせいか、ウエストの縮まる気配はない。しかし、体感温度を下げるためなら、努力もできそう。暑いのは苦手、かといって冷房をガンガンかけるのも嫌、とすれば、できるだけ薄着をして、手っ取り早く涼しくなる。でもなぁ、半ズボンにTシャツで授業はできないし、体重を落とすしかないか。
 かつて医者に脅されて、三ヶ月で8キロ減量したことがあった。何のことはなかった。食べる量を減らして、ジムでビシバシトレーニングをしたら、みるみる成果が上がった。なんだこんなものか、いつだってできる、と思った。そのうち忙しくなって、ジムもやめ、いつもどおりの食生活にもどると、六ヶ月で元通りになって、徐々にデブ化は進行し続けている。血圧はたぶん140を超えているだろう。
 体の不具合を自慢するのはオヤジの証拠で、品のないことはなはだしい。まったく、身も心もオヤジの塾屋が、きょも小5の授業で怒り狂い、中3の授業で生徒を恫喝してしまった。
 尊敬する在野の哲学者、長谷川宏氏(長谷川さんも塾をやっている)を考えると、身がすくむ。僕にできないことができる人のことを考えて不毛な自己嫌悪に陥るよりも、僕にできることをしっかり考えるべきなんだろうけれど、さぁて、それが何なのか、そう簡単にはわからない。すくなくとも体重は落としたほうがいいか。

哲学者の休日

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