銀杏が

 色づく前に撮っておこうと思った。写真は毎日眺めている銀杏の木。いままでの写真にもちらほら登場している。勝手に「LECの樹」にしている。名前もつけた。「シャックルトン」。
 もちろん、南極大陸探検で勇名を馳せたかの人物にちなんだ。不撓不屈の代名詞のような方で、「何もかも失われたときは、ひざまずいてシャックルトンに祈れ」とは、あるイギリス冒険小説の一節。
 幼いときに、小峰書店の世界ノンフィクション全集で「エンデュアランス号の遭難」を読んで感激したことが記憶の片隅にあった。福山に引っ越してきてから、アラスカとクマをこよなく愛した写真家、星野道夫さんの愛読書だったことを知り、あらためて今度は大人向けの本を読み直した。
 圧倒的なリーダーシップ、聡明な判断力、驚嘆すべき行動力、キャプテンシーとはかくあるべし、という完璧な見本。
 子どもらにもっと偉大な冒険家や探検家の話をしてやらなければ、と、つくづく思う。人間の崇高さ、気高さに憧れ、望み、夢や希望を大きくしなやかに育てるために、塾屋ができることはもっともっとあるはずだ。