なかにひとり、とんでもない弱点が見つかった子がいて、お昼ご飯抜きで午後三時近くまで、演習を延長した。
素直に僕の指示に従う従順さと、孤独な学習に耐え切れないひ弱さと、どちらも彼の属性で、どちらも彼の個性である。受験勉強をとおして彼の成長を見守る立場にたつことは、とんでもなく矛盾をはらんだ関わり方を過たずに行っていかなければならない。いや、子育てはいつだって基本的に矛盾した営みになっていくもので、子を想う愛情がその矛盾を止揚しているからこそ、破綻が顕在化せずにすんでいるだけか。
ひょっとして、もし愛情がなければ、もし愛情が不足していたら、悲惨なことになるのは間違いない。近親者だけに、かえって抜き差しならぬ事態に陥ることもあるだろう。
とすれば、塾屋のポジションは、まだ、制御しやすい立ち位置ということか。
土曜の夜はいつも堂々巡りの思念に沈む。
また、明日。ごきげんよろしう。