前回だったか、前々回だったか

 小5の算数で、三角定規の90度・60度・30度のものを二つ組み合わせると、どんな図形ができますか、という設問に対して、答えは、二等辺三角形と平行四辺形と長方形のみっつってことを説明していると、
 「先生、直角三角形もできるよ」とイタズラっぽく笑いながら、ある児童が言った。
 「たぶん、君が言いたいのは、二つぴったり重ねればってことでしょ」
 「そう。ふふふふ。できるでしょ」
 「おもしろい、と思う。この問題文のどこにも重ねずに、とは書いてないもんなぁ」
 頓知クイズっぽい発想だけれど、柔軟な思考力と認めてもよい。ただし、この子の場合、直観は秀逸なんだけれど、日ごろ、論理的思考を持続する点で弱さを抱えているから、あまり、絶賛はしなかった。もっとほめてもよかったかもしれない。「ひらめき」の国があれば、じゅうぶん国民としてやっていける。たとえ「論理」の国から排斥されても、子どもならそれでよいのかもしれない。いずれ、あと数年もすれば、まちがないく必要な思考力は育つのだから。