秋祭り

 "ピーヒャラ・ピーヒャラ・踊るポンポコリン...."、毎年、変わらぬテーマ曲で子ども神輿がやってくる。ご挨拶してお神酒をいただき、そそくさと教室に戻る。「おや、まぁ」セッティングしていたはずのCDが一時停止状態で、リスニングが始まっていないじゃないの。
 あわててラジカセのポウズをとく。"2007年度、第二回…”僕の記憶が確かなら、この声は、タモリが「日本のお母さん」と呼んだ元NHKの女性アナウンサーだった加賀美幸子さん。今年の英検から、「受験者心得」とリスニングの指示・説明は彼女の吹き込みになった。
 正直言って、ちょっと重い。アナウンサー教本の添付CDを聴いている気分になる。接続助詞の微妙な強調や、緩急自在の間のとり方に、職人技が使われていて、聞き流せずに聞き込んでしまう。前任者の声は、今、思えば没個性的で、やや高めの平板な声、一本調子だった。でも、それで十分だった。適当に聞き流すには手頃(耳ごろ?)な声だったように思う。
 声を聴いてその人の顔を思い出し、今もNHKアーカイブスで頑張ってるよなぁ、とか、この人は、「娘のほしがるものは、何でも惜しみなく与えるんです」って個性的な育児をしていたよなぁ、とか、何かしら、記憶の断片がよみがえってきて、声が以前のように通り過ぎていかない。
 生徒たちには、あまり縁のない人だから、僕のような思いにとらわれている子はいないみたい。
 と、突然の妄想。以下は馬鹿馬鹿しい思いつき。
 主催者が受験者増を図るため、「受験者心得」の吹込みを毎回有名人にしてもらうことにした。例えば、2008年度はSMAPの木村拓也氏。そして、毎回キムタクの写真でポスターを作る。成績優秀団体の表彰は、キムタクが行う。関係する参考書・問題集も2008年版はキムタクで表紙を作る。英検=キムタク、というシンボライズを徹底的におこなう、そして、毎年、翌年は誰が選ばれるのか注目されるような宣伝活動を展開する。あるいは、全国の中学・高等学校の生徒から人気投票をしてもらってきめる、などなど。
 疲れると、ろくなことを考えない。以上、まったくの冗談です。登場する団体名、個人名も、実在するいかなる団体・個人ともまったく関係ありません。