奇遇

 二日続けて大学時代の友人から連絡があった。一昨日はメール。業務を終了し帰宅前のメールチェックをすると、空前の好景気に沸く海運業界で獅子奮迅の活躍をしているであろうF氏の名前。東京マラソンに向けてトレーニングを重ね、体脂肪は一桁台、とか。NY赴任中にはNYシティマラソンにも出たアスリートは依然健在。無茶無茶カッコいい。生徒公認のメタボラーには痛すぎる話。やるなぁ、さすがだぜ、わが師匠、男の中の男、と羨望の念を新たにした。
 昨日は、電話。静岡在住のM氏。気がつけば同業者。ヤクザな稼業の悲哀を共有できる唯一の友人にして、ミュージシャン。バックコーラスを率いてゴスペルも歌えばバンドも組む、今度はピアノをやるそうな。いつもながらあでやかな光彩を放つ。互いの健闘を約して受話器をおいた。
 「おい、村上!何やってんだよ、タソガレてんじゃねぇーよ」という彼らの声が耳の奥にこだまする。僕には彼らに証明して見せなければならないものがあるような気がする。信義を失う生き方はしていないぜ、と。