「海のカテドラル」

金曜日のNHKラジオ第一(「ラジオビタミン」だったか)で、芸能界きっての読書人、児玉清氏が絶賛していた。「絶賛」という言葉ではおさまりきらない、猛烈な感情移入がほとばしる本の紹介に心動かされて、2号線のフタバ図書へ直行。最後のワンセット(上下巻)を購入した。
「あたり!」だった。ハラハラドキドキ、どうなるんだろう、と時間を忘れて読みふけった。14世紀のスペイン、バルセロナを舞台に、ひとりの少年が、封建時代の因襲に縛られた身分制社会の中で、自由を求め、悪しき偏見と戦いつつ成長する姿をを描く波乱万丈の歴史物語絵巻。読後に《ビア・フォラ! =「武器をとれ!」》が、耳の奥でこだまする。
小説でバルセロナに魅せられたのは「風の影」以来。「海の聖母教会」(サンタ・マリア・ダール)の堂内にきらめく地中海の光を夢想する。