小学生の「飛び級」

小学生の「飛び級」が、試験的運用から、本格的実施の時期に来た。
小4から小5へ、小5から小6へ、各々複数の生徒が授業に参加している。
無茶と無理の境目あたりを、「それいけぇ」と勢いで突破している。知らないことばかり、わけのわからないことばかり、の異世界に、年上の子らに囲まれて学ぶ姿はなかなかいじらしい。精神的にタフでなければやっていけない。

象徴的なできごとが先日あった。
小6の小テストに扇形を含む複合図形の面積を求める問題があった。5年から飛び級していた少年に言った。「君さぁ、この問題まだ習っていないよね。できなくてもいいよ。でも、まぁ、何とかなるなら、何とかしてみな」果たして10分後、彼は見事に正解。式変形の過程もよかった。
「へぇやるじゃん、どうしたの、これ」
彼曰く、「今度何習うのかなぁって思って、テキストを見ていたら出てきたから覚えちゃいました」とあっさり返答。知的好奇心と興味本位から円や扇形の面積を求める公式を勝手に覚えたそうな!!
まぁ、そういうことだ。
そういう子は、どんどん飛び級させて、ガンガン色々教えていけばいい。一時的に成績が下降することもあるかもしれないけれど、スケールのでかい子に育てるには、時に無理をさせるぐらいがちょうどいい。
お行儀よく順序良く丁寧に教えていかないと混乱する子たちもいれば、破天荒でもエネルギッシュにがむしゃらに目の前のものを吸収していく子もいる。その子にあった教え方をしていけばいい。いつも型どおりやることもない。

みんながみんなうまくいくとは限らないだろう。失敗したら、失敗を糧にやり直せばいい。いくらでも復元できる。

きょうは本屋に寄って来たので、塾到着が遅れた。いつもは聴けないFM番組から、カルロス・クライバー指揮のベートーベンの5番が流れてきた。久しぶりだった。東部陸橋をのぼる車内で、冬空をみていた「あきらめを知らない運命論者」の魂が一撃された。教え子のH君からいただいたCDをしまいこんだボックスから取り出そう。この冬は、5番と7番で乗り切る。

どんな運命が待っていようとチャレンジせよ、とクライバーは訴え、ペートーベンは主張していた。