くらくらするような負荷がかかっているはずなのに、許容限界を超えているらしい。
さっぱり知覚できない。
ただコマネズミのように忙しくしている。
目の前の課題を具体的にひとつひとつ処理することに没頭していると、一日が終わる。
いろんな子が目の前を通り過ぎていく。
ガッツあふれる子もいれば、やたらと陽気な子、控え目だけれど芯の強さを感じさせる子、中には何を考えているのかわからないけれど元気な子もいる。
明日もいろいろイベントがあって、また、めまいのするような一日になるだろう。
受験生たちが、またいちだんと受験生らしくなり、塾屋はたぶん静かな喜びに満たされていくだろう。
塾屋の幸福な日々は、合格発表の日よりもむしろこの入試直前のこの緊迫感の中にあるような気がする。
しかし、それはたんなる幻想で、こんな毎日が続けば、過労で確実に寿命を縮めることは間違いない。
麻薬の幻覚のようなものだ。
どっぷりつかって福山でもう23年たった。
あと何年もつことやら。