「雨になる」

 昨夜、塾を閉めて帰ろうとするとき、雲に隠れた月をみてT君が、明日は「雨になる」といった。「雲のようすが変だ」と。確かに、厚めの積雲の下に、ながれていく別の層雲があって、大気は不安定だったけれど、僕は根拠もなく「降らない」と言下に否定した。「降る!」彼が即座に再主張して、ギャラリーの女子生徒の笑いをとった。やれやれ。やるじゃないか、少年!本能的に間合いを見切った見事な一刀。一撃で仕留められた気分であったよ。