中島みゆき「転生」

 中島みゆきのCDを買ったのは2枚目。「大吟醸」以来。全部聴き終っていないのだけれど(8曲ぐらい聴いた、8打席6打数4安打2四死球2併殺打のイメージ)、どうして、僕がこの人の歌に惹かれるのか、わかった。

 僕の抱える「喪失感」をダイレクトに撃ち抜く、言葉と声とメロディーを持っている。ふだんは意識することもない情念の渦を、時に限りなく切なく、時にこのうえもなく猛々しく、実に強烈に掻き立ててくれる。たぶんデビュー曲の「時代」以来、それは変わっていない。歌詞に勝手に仮託した、自己愛撫に過ぎる感傷が、涙腺を刺激するほど心地よく自意識を酔わせてくれる。「中毒になるね」と言ったのは、大学時代の友人、堀君だった。そのときは、「なんかくせになるよね」で終わった。ずっと、その程度の認識しかなかった。

 おーい!イッパク、もう20年もお前には会っていないけれど、まだ、中島みゆきを聴いてるか、中島みゆきも俺も何も変わっていないってどういうことなんだ?いつから時は止まったままなんだろう。

転生

転生

  • アーティスト: 中島みゆき,瀬尾一三
  • 出版社/メーカー: ヤマハミュージックコミュニケーションズ
  • 発売日: 2005/11/16
  • メディア: CD
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