予定通り、DVDを観た。「ラ・マンチャの男」
- 出版社/メーカー: 20世紀 フォックス ホーム エンターテイメント
- 発売日: 2004/12/03
- メディア: DVD
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きっかけは、一冊の本。日経新聞のサイトで、偶然、実に鋭い政治評論をお書きになっている記者の方を見つけ、この人の書いたものなら、はずれはないだろう、ということで、「官邸主導」
- 作者: 清水真人
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞社
- 発売日: 2005/12
- メディア: 単行本
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「あなたは空想と現実の区別がわからなくなったドン・キホーテだ」
小泉「実は私はドン・キホーテは好きなんですよ。『ラ・マンチャの男』は大好きなミュージカルの一つであります。『夢みのりがたく、敵あまたなりとも、我は勇みて行かん』」
のくだりで、思わず大笑いした。小泉氏の実に晴れやかな笑顔が目に映るようであった。いったいこの「見果てぬ夢」という主題歌は、どう歌われているのか、無性に知りたくなった。二十代後半のどこか、中央線の高架下の焼き鳥屋の焼酎のコップの受け皿の中に捨ててきたはずの「英雄願望」が、むっくり目覚めたような心の渇きを覚えた。これまで、小泉氏をカッコイイと考えたことはない。ただ、郵政特別委員会で、大見得を切った発言がその後の経緯と照らし合わせると、まさに時代を切り取ってみせるフレーズになっていることはまちがいない。
さらに、上記の本にはどきっとするくだりが続く、
「ラ・マンチャの男」には「最も憎むべき狂気とは、あるがままの人生に折り合いをつけて、あるべき姿のために戦わないことだ」というセリフも出てくる。
なんと、僕の日常、いや、人生の核心を突いてくる言葉。どんな場面で、どんな言い回しで、語られるのか、これは確かめねばならない。貫かれた心の穴に痛みを感じたままにしておいてよいものか、という、きわめて個人的な事情から、さっさと床につくべき時に、ひとりリビングのDVDのハードディスクの電源を入れた。
朦朧とした頭で見たせいか、字幕スーパーで見たせいか、これと言って特筆すべき感動もなかった。感激的な場面は確かにいくつかあったけれど、臨場感に欠け、感情移入できず、ぱっとしなかった。「見果てぬ夢」にしても、ピーター・オトゥールが、妙に直立不動で朗々と謳いあげるだけだし、あとのセリフも、独特の隠喩と過剰な修辞が横溢するセリフのやりとりのなかで、ザラリと出てくるだけで、「あれっ」て思ったときは通り過ぎて、巻き戻して聴きなおす場面でもなかった。
やっぱり舞台演劇は、舞台でみないとダメなんだろうなぁ、というのが率直な感想。ミュージカルは役者の息遣い飛び散る汗、舞台を踏む足音や衣装のこすれる音がないと、ね。もっと頭が明晰で、心静かに堪能できる時に見たら、違うかも。でも、もう、たぶん、まず、見ない。どうもソフィア・ローレンが肌に合わない。いかにもはまり役なんだけれど、僕の趣味ではなかった。