きょうでおしまいって

 思いながら、朝、顔を洗っていたとき、ふと思い出されたのは、司馬遼太郎と中島みゆき。
 確か「坂の上の雲」のあとがきで、司馬氏が、かの大作を書き終えた後の気分を、駅を出て行く夜行列車のテールランプを見送る気持ちにたとえていらっしゃった。
 テールランプの灯りが、踏み切りの鐘の音とともに次第に遠ざかっていく様が脳裏に映像化された瞬間、中島みゆきの「テールライト」がほぼ同時に脳内BGMになった。
 だからといって「プロジェクトX」を観終わった後のような感傷的な気分になっているわけではない。確かに夏期講習はなんとか最終日にこぎつけることができた。しかし、9月からチャレンジしなければならない困難を考えると、新たな圧迫感を強く意識せざるを得ない。
 ひとつ乗り越えると、また、次の山。
 次第に、高く、険しく、厳しくなっていく。
 そうして塾屋は鍛えられる。