昨夜は

 広大附属福山高校の英語・数学で苦戦している元野球少年に、「気合負けするな、投げる前からホームランを打たれてしまうような気分でピッチングする奴がいるか」と、内容の貧しい精神論を講釈した。精神論で受験は突破できない。しかし、受験突破に成功した奴はみな精神的にタフだった。
 そのあと、数ⅡBの演習(高2)で、軌跡+二次関数の最大・最小、三角関数+二次方程式の解と係数の関係とか、リボンをつけてショウ・ウィンドウに飾りたい定番の”楽しい数学”をやって、少し気分的に浮上した授業のしめくくりに、
「どうせこの一年はろくでもない一年にしかならない、遊びたいとか、のんびりしたいとか、一切考えないでくれ。とにかく夏までに英語・数学に目鼻をつけないといけない、たらたらしている暇はない」
 と言わずもがな、毎度おなじみの説教をして終わった。精神的に苦しくなると、説教が増える。悪しき傾向がぷんぷん。
 自己嫌悪に陥ったとたん、ガクッときて、何も手がつかなくなった。ブログを開く気、ゼロ。極北の彼方にショート・カットはあった。
 
 残されたふたつの日曜日のひとつ、朝8:30から、まだ市立福山中受験の興奮冷めやらぬ児童を相手に、算数・国語・理科・社会の演習を午後5:00までやった。
「いいかい、今年、センター試験の英語の問題形式がかわった。附属中の入試だって、今年は問題形式が変わる可能性は高い。二次抽選がなくなって、一発勝負になるからね、得点分布が広がるように問題がつくられてもおかしくない。形式が変わったから、力を発揮できなかった、なんて泣き言を言わないようにしよう。どんな問題形式でも自分の一番よいものが発揮できるように準備していこう。いいかい、本当に実力があれば、目先の形式にとらわれたりしないんだよ」
 とにかく、残された日々は少ない。課題は依然として多い。

 そんな重圧の中で喘ぎながら、新年度プランを抱え込んだままゾウガメのようにのろのろと這っている気分だった。

 その時メールが一件。
 限りなく個人情報に抵触する恐れがあるけれど、まぁ、許せ、僕がどれほど喜んだか。

 

先生!ついにやったょ私!****の配点で86%とったょ!
国語→172 世界史→92 外国語→185 生物→90 数1A→69 数2B→87

 しばらく、時がとまった。
 彼女の喜びに心から共感し、返信し、少しあかるい気分になった。

 こうして塾屋は救われ、闘い続けてゆく。