朝、自習室に生徒が8名

 暖房は全開。それでも建物の立て付けが悪く、足元には隙間風を感じる。外は光が弾け、微風が時に舞う。附属の入試まであと70日。朝からそれぞれの課題にとりくむこの子らにどんな運命が待ち構えているのか。彼らが自らの運命を切り拓くに足る取り組みを継続できるのか、いまひとつ、不安を感じる。受験馬鹿になりきれず、優しいけれど脆弱で、スマートだけれど骨太ではない、そんな彼らに、泥臭くファナティックに受験勉強をさせていくことは無駄が多い。滑らかにタクトを振り切ることは容易ではないけれど、彼らの波長にシンクロして、伴奏することは難しいことではない。そこにおのずと僕の役割があらわれる、たぶん、そういうことだ。