冬だね、と言われて、うん、とこたえた。

冷え込んできた。暦の上では「大雪」にあたる。だからというわけではないけれど、ユニクロのヒートテック商品を眺めてきた。店内には思ったよりも高齢者の方が多かった。「ヒートテック」が季語になる近未来を考えながら何も買わずに帰った。

新型インフルエンザの予約に並ぶ保護者の行列が新聞の一面に載っていた。ワクチン不足でたいへんらしい。個々の病院で対応していては混乱が長引くだけだろう、スタッフと施設を集中活用して集団接種を行えば、もう少しスムーズにいくのじゃないか、と素人考えで思ってしまう。予算がないのか、やる気がないのか、行政に携わる人々を安易に批判するべきではないのだろうけれど、、、、

娘が言った。「生涯最後の定期試験が終わった」と。
どうやら、大学入学後の試験は、彼女にとって「定期試験」には含まれないらしい。たいへん大きな間違いをしているのだけれど、何も言わなかった。まだこれから入学試験が控えているときに、入学後の話をしても笑止千万。それに、何かしら意味づけを行うことで、少しでもカタルシスを味わえるなら結構なことだ。そして思い出したのは、サッカーのワールドカップの組み合わせが決まってオシム氏のいった言葉。「自分たちをだまして自信をもて」。
客観的劣勢を主観的心情で覆そうとすることは日本人の得意芸だ。「精神一到何事かならざらん」とか「大和魂」とか、、、。オシム氏の発言はもうちょっと違うニュアンスだったろうけれど、日本の風土では野蛮な精神論にくくられてしまうにちがいない。セルジオ越後氏のように、「ダメなものはダメ」と言い切ってしまうほうがすっきりしていて好ましい。
無自覚に、根拠もなく自信をもてるなら幸いである。根拠がともなうならなおさら、しっかり自覚して自信をもてばよい。日々懊悩葛藤するよりも「イケイケ」で突き進んだほうが準備ははかどるであろう。いたずらに受験生の不安や心配を掻き立てるのは馬鹿げている。受験生がその気なら、周りの大人は邪魔しなければそれでよい。せいぜい、おいしい食事を提供し、心和む時間をともにすればよい。親の出番はそこまで、あとはなるようにしかならない。
娘を自動車で学校に運ぶ務めももうあと20回程度。校門にいたる坂道の「坂の上の雲」を見る機会もあとわずか、、、