クリスマスだった

風の強い一日だった。

駐輪場の自転車がバタバタ倒れた。中3男子の協力を得て、自転車の駐輪方向を90度変えてからおちついた。
見ていると、マウンテンバイクスタイルの男児用がよく倒れる。重心が高く、スタンドが貧弱で、前輪が大きすぎて安定性に欠けるようだった。スポーツタイプの自転車は走りが問題なのであって、駐輪の安定性まであまり考えられていない。塾屋からすれば、もっと考えろよ、と言いたいけれど、欲張りな注文であろう。安全に走行できることが、まず大切であることは言うまでもない。

生徒は誰も倒れていない。
受験生にはハードな演習を課しているけれどよく耐えている。小6には、休憩時間に外でお弁当を食べることも、将棋をすることも禁止した。入試直前の締め切り効果で、あとのびをする時期に、できるだけタイトな雰囲気を醸成したいためだ。
しかし、まだ「ゆるい雰囲気をだすな」「ちゃらちゃらやるな」と怒らなければならない。それ自体、たいへん情けないことである。きょうはとうとうひとり強制帰宅させた。無邪気さゆえの軽はずみな行動を慎む思慮深さが彼にはなかった。ひとつひとつ大人への階段をのぼってもらいたい。ただ、なにもかも大人目線で判断してはなるまい。子どもにも言い分はあるだろう。要は節度があるかどうか、それだけだ。大人も子どももない。



クリスマスだった。
生かされてあることを謙虚に祈るべき日なのだろう。

夜、仕事を終え、エアコンを切って冷気が教室を満たし始めてやっとそんな気分になった。


どうか、明日も課せられた責務を果たすことができますように。