勝ちました! 僕が打ったんです。

練習試合が長引いて遅れる、と彼から(新中3)メールがあった。

指名参加のクラスには間に合わなかったが、かろうじて本籍クラスの授業には間に合って到着した。

「試合どうだった?」
「勝ちました。僕が打ったんです。レフトオーバー、逆転勝ちでした!!」
「でかした!インハイをフルスイングしたんだ」
「はい、内角の球でした。ふふふ」
「ワンナウト、一・三塁?」
「いえ、ツーアウト、二・三塁、ふふふ」
「ひえー、ヒーローじゃない!じゃぁ、三打数1安打二打点?」
「いえ、一打数一安打二打点、一フォアボール、一犠打。ふふふ」
「ふーん、打順は五番か六番?」
「六番」
「じゃあ4月からは4番だね」
「ふふふ」

久しぶりににこやかに話をする彼に接した。英検2級に合格した時でもこれほど喜んではいなかったような気がする。いや、それでよいのだと思う。英検2級よりも練習試合の逆転打の方が尊い場合があっていい。自分に自信をもつために必要なスキルが公的な資格や、勉強に限られるほど人生は狭くないから。
少年! もっと打て! そして、もっと勉強しろ! 君の人生は可能性にあふれている!!