懇談中だった。
きょう電話が鳴るのは三度目だった。
一度目、数学検定協会から事務手続きについて。
早口のお姉さんに、はい、はい、はい、と同意して終わり。
二度目、中央教育研究所から新年度のテキストについて。
「懇談中なので、あとでまた」と、瞬殺。すまねぇな、三上くん。
三度目。
三度目の正直でありますように、と念じつつ出た。
「はい、LEC進学教室、村上です」
「Mです! Mです!」
感極まった声で察しがついた。
「来たか?」
「来ました!」
「うぉおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!」
あとは、何を叫んだのやら、どんなお祝いを言ったのやら、何も覚えていない。
ただ涙がこぼれた。
広大附属福山高校から待ち焦がれた「繰り上げ合格」の電話が今朝あったことを、手短に語り、「だから、きょうは行きません」と快活に少女が語る。
「おうおう、お祝いしろ、みんなでお祝いだぁ」
「Sは?」
「まだだ。大丈夫、そのうち必ず来るさ、待ってろ!」
「はい」
グランドフィナーレまで、あと何小節、このラプソディが続くのか。
大団円はもうそこまで迫っているはずだ。