どこかでひと区切り、いやそうじゃない

高校受験の結果

 

 生徒が不合格になったのは、根本的に村上の責任だ。

 受験指導のただ一人のの責任者である村上の拙劣な指導が原因である。

 その大部分は、村上の傲慢な性格に起因する慢心である。

 悔やんでも悔やみきれないが、事実を受け入れ、反省し、今後に生かしていくしかない。

 

 ■ 広大附属福山高校、4名受験して2名不合格。

 不合格になった二人は、3年間リベンジを志して学習に励んできた。合格して当然の成績も出ていた。にもかかわらず、試験結果をコントロールできなかった。できると思ったところに村上の慢心がひそんでいた。村上がもっと思慮深ければ、間違いなく二人とも受かっていた。いくら村上が自己嫌悪に陥っても結果は覆らない。どうか、次のチャンスにむかって頑張ってほしい。村上も塾屋として、いっそう精進に努める。

 

 ■ 誠之館高校 6名受験して6名合格

 ■ 大門高校  2名受験して2名合格

 

蓋を開ければ全員合格、首尾よくまとめられた。

徹頭徹尾、危機感をもって取り組んだ。

というのも誠之館合格者に関しては、直前の模試でC判定が3名もいたからだ。

中には、明かに内申不足で、中学校から志望校変更を強力にアドバイスされていた子もいた。

どの子も、しかし、結果として本人が「行きたい学校」にこだわり、自分のために進んで取り組んでくれた。2月はほぼ皆勤で、過去問演習につぐ過去問演習をおこなうことができた。

基本的に、甘えを許さず厳しく指導(時に叱責、時に罵倒)したが、みんなよく伸びてくれた。(言い過ぎたこともあったかもしれない、もしそうなら、申し訳なかった)

とにかくひとりひとりが、自分のためにすすんで勉強してくれた。

1年前には考えられなかった自主的な取り組みを目の当たりにした。

15歳の春に高校入試がある良さは、この自律的成長を促すところだ。

そして、結果的に彼ら、彼女らが精神的に自立していくところである。

 

塾屋ができるのは、せいぜい送りバントである。

疾走し、タッチをかいくぐり、セーフをもぎ取るのは彼らにほかならない。

入試直前の塾屋の仕事は、スイッチの入った受験生が、ぶれずに真っすぐ走れるように環境を整えるだけである。

一気にスキルアップするには、生徒が自分のために真剣に学ぶことが欠かせない。

それが実現した。

称賛するべき取り組みを彼ら、彼女らはしていた。

ぜひ、今後も継続してもらいたい。

より大きな目標にむかって。

 

 

 

 

 

「繰り上げ合格」エレジー

少年がひとり、市立福山中学に繰り上げ合格した。

「繰り上げ合格しました!」破顔一笑、満面の笑み、うれしそうだった。

 

過去二年、苦戦続きだった。

本人なりに一生懸命だったが、甘さもあった。

よく怒られた。

それでも、ひたむきに自習によく来た。

昨年末、自主プリント演習の算数で、「やるじゃん」という結果も出始めた。

 

「ジャイアントキリングをおこせ」が合言葉になった。

 

作文は筆のすべることが多かった。

自己顕示と自己表現の境目があいまいで、時に逸脱しては怒られた。

はまったときは、説得力のある個性的な文章を書きあげることができた。

 

入試直前最終週には、市立福山中の合格ラインを越えられるようになった。

あとは、自信と勢いと運次第。ちょっぴり多めの幸運が必要だった。

 

そして、ちょっぴり多めの幸運を彼はひきよせた。

お見事。

「土壇場の現場力」が彼にはあった。

ご家庭のあたたかいご支援が、彼の「現場力」の源泉だったように思う。

 

 

広大附属福山高校にも、少女がひとり繰り上げ合格。

「たぶん、今週中には連絡が来るよ、でも、15日を過ぎたら期待できない」と告げたのが、9日の日曜日。

連絡があったのが14日のきょう。

そして、この話は、いまのところ、ここまで。

よく努力した。

その努力がある意味報われたことを喜びたい。

 

広大附属附属福山中の繰り上げ合格を待ちつつ、市立福山中に入学手続きをした少年がひとり。

覚悟はしていた。

辛い。

彼は感情を表に出すタイプではない。

それだけに、その心情を推し量ると、いっそう辛い。

 

もちろん、

中学入試はたんなる通過点で、これからも競争と選抜の過程は連綿と続く。どのような結果がでたところで、きちんと現実を受け入れ、前を向き、できることにベストを尽くしていけば、自ずと道は開け、人はなるべきものになってゆく。一時の感情に拘泥するな。

というのは正しい。

 

しかし、なまじ中途半端な期待を抱かされ、他力本願の宙ぶらりん状態になると、切り替えて前へ進もうとする気持ちが揺さぶられ、ぐらつくのは避けられない。

スパッと結果が出たら、腹もくくれる。

もしかしたら、と思うと、それができない。

そして、不完全燃焼のまま「タイムアウト」。

弄ばれた感満載。

しかし、それを理不尽というのは控えよう。

あらかじめ、わかっていたことだし、今にはじまったことではないし、たかが中学入試だ。

だから、あらためて切り替える。

くよくよしたら、切り替える。

なんどでも立ち上がる。

 

いまだに思い出す。

昔、附属中入試には、くじ(抽選)があった。

学科試験の合格者が一堂に附属の体育館に集められ、寒さに震える保護者の見守る中、子どもらがひとりひとり壇上に登り、箱の中からくじをひいていく。

その後、合格者が発表され、静かな歓喜と暗い絶望が館内を満たす。

娘はくじにはずれた。

 

妻が嗚咽をこらえつつ、泣き崩れる娘の肩を抱きかかえながら、体育館から出てくる姿が蘇る。

 

時折フラッシュバックする。

いまだに切ない気分になる。

 

そのあと、車の中で何を話したか、何も記憶がない。

ただ、その足で小学校へ向かい、娘が授業に出たことは覚えている。

そして、いつものように下校してきた。

その後、娘は、淡々と公立中学へ進学した。

あたかも定められた運命であるかのように。

あれから17年。

 

『過ぎてしまえば、どんな悲哀もどんな苦悩も、すべて思い出になる』(宗像 仁「エースをねらえ!)

賢者は、するどく人生をの本質を突く。

同意するしかない。

 

だから、前を向く。

予定調和になるとは限らない。

有為転変は人知のおよぶところではない。

しかし、できることはあるし、やるべきこともある。

だから、前を向き、前進する。

 

 

 

たかが通過点、この先、

 

競争と選抜の分岐点は山ほどある。

どんな結果であれ、きちんと受け止め、しっかり前を向けば、未来への糧になる。

状況に流されないことだ。

大人がしっかりフォローすることが大切だ。

子どもがひとりで制御できることは限られている。

適切な距離を保って、立ち向かうべき現実の見取り図を提示するべきだ。

 

たゆたえども沈まず

 ひとつひとつ語り始めると、とても長い話になる。

 それを短く語る技量がないので、何も書けなくなることが増えた。

 

 ブログの記述が減ったのはそのせいだ。

 

 「馬鹿だな、歳のせいだよ」、と友人のMなら言うだろう。

 「歳をとると断定できなくなるんだ、思慮分別が増したわけじゃない。

 判断力が鈍ってだな、何もかもどうでもよくなるんだ。ニグレクトさ」

  

  そうかもしれない。老化現象にすぎないのだろう。

  とりあえず、備忘録がわりに記述しよう。

 

 広大附属福山中の合格発表から一夜明けて、朝日があかるく差し込むリビングで、不合格だった生徒に、「繰り上げ合格候補」通知が届いていることを知った。返信を書くのに時間がかかった。過去の事例が次々を思い起こされ、封印していたさまざまな思いがよみがえってタイピングがすすまない。

 午後1時前、塾につくと、2月学力テストに集まった中1・中2の生徒、十数名が「遅いぞ、村上」といった顔つきで待っていた。小6の生徒たちは、むしろ「いつも通りじゃん」という雰囲気だった。どちらも正しい。

 中1の学力診断テスト、中2の学力診断テスト、中2のアドバンステスト、中3の公立高校過去問演習、小6の中1準備授業が一斉に始まった。少しずつ時間をずらして始めれば、この大混雑は避けられたのに、と、四つの教室をぐるぐる回りながら反省した。決められた手順を生徒たちが熟知しているので、時間になったら答案が回収され、次の教科の問題がくばられ、タイムキーパーが手際よく時間をセッティングして、リ・スタート。よくできた子どもたち、手がかからない、この自律性をどう学習に生かすべきか、もっと真剣に考えられてよいよなぁ、と思う。

 小6はすこぶる快調に中1の内容を消化してゆく。頭の良い子たちだ。ここまで来るのにずいぶんかかったようにも思うけれど、立派な成長だ。

 やがて小6の生徒は、小4の生徒と交代。きょうから新人が初参加。目をくりくりさせ、上気した表情で、発表のたびに立とうとする。「塾はすわったままでいいんです」一生懸命さが初々しい。

 授業なかば、窓の外に見慣れた中学3年生、そこで、やっと広大附属福山高校の合格発表時刻を過ぎていたことに気づく。

 教室から出て、「おい、どうだった」「ダメでした」の返答に絶句。合格を確信していただけに言葉が出てこない。かける言葉がない。情けない。

 気丈にふるまう彼女と別れて、授業にもどる。無力感・虚脱感・敗北感がどっと押し寄せ、我を失いそうになる。

 「くじけない、くじけない」とつぶやきつつ小4の授業をする。小4の生徒が「どうしたんですかぁ」と無邪気に突っ込みをいれてくる。簡単に説明する。「くじけない」とリフレインしていると歌になってしまう。「それなんですかぁ」と再びつっこみ。「これはね、くじけないの歌」(そんなものあるか、と心の中でおもいつつ)淡々と授業。

 すると、合格発表報告に現れたふたりめの生徒。「受かってました、信じられません」を聞いて、祝福の絶叫が出る。大健闘の一語に尽きる。教室にもどると、「なんですかぁ」とまた突っ込み。また、簡単に説明して授業続行。中学1,2年生のテストも滞りなく終了。自己採点結果は、全体的に前回よりは少し回復したように思えたが、課題は山積み、アルプス山脈並、ため息をこらえる。中3の過去問結果はほどほど。なんとかなりそうなデータもあれば、そうでないデータも。ひとりひとり講評を述べて、明日9時からの演習を確認。

 結局、広大附属福山高校入試は、四人受験、ひとり合格、ふたり不合格まで判明して、日が暮れた。

 夜、事務作業中に、デスクトップにメール。不明のひとり、中3生、不合格と繰り上げ合格候補の文字。くやしさがまた湧き起こる。きょう何度目かのため息。またつぶやく「くじけない、くじけない」。

 授業終了。きょうも終わりと思いつつ、最後のメールチェック。

 高3生からメール。「だめでした」

 膝からくずれ落ちそうな衝撃。

 しぶとく立ち向かうと返信。

 

 長い長い一日は、妻にハーゲンダッツのチョコバーを買ってかえるミッションで幕を閉じた。

 

 短く語るには、出来事が多すぎた。

 酔っぱらってしまえば、ブログを書くこともなかったかもしれない。

 そんな日々もあった。

 酔っぱらわずに寝るには、少し時間がかかった。

  

 切り替える。

 今夜も切り替える。

 たぶん、明晩も切り替える。

 毎晩、翌日のために切り替える。

 一晩寝れば、かならず事態は好転している。(コリン・パウエル)

 

 みなさん、おやすみなさい。

 明日もがんばります。

 

 くじけるものか。

 

 

中学入試の結果です。

 きょう広大附属福山中学の合格発表があった。

 

 終わった。

 けじめがついた。

 切り替える。

 

 中学入試をよく頑張った子らに惜しみない賞賛を。

 

 「ほんとうによく頑張りました。時にブチぎれて悪かった。すまねぇ」

 

 あたたかいご支援をいただいたご家族の方々に感謝を。

 

 「拙い指導にご理解いただきましたこと、心からお礼申し上げます」

 

 

  

 近年、入試結果を明らかにしていなかったので、一部抜粋して載せます。

 数字は合格者数です。

 0は受験者がいませんでした。

 クラスの規模はだいたい10名前後です。 

 

過去4年間のデータ

          2017  2018  2019   2020
広大附属福山中    1    1    3    1
市立福山中      2    3    2    2
県立広島中      1    1    0    0
愛光中        0    0    1    0

 

 さぁ、小6のみなさん、はじめたばかりの英語と数学を明日も進めよう。

 数学は正負の掛け算、割り算ね、英語はもうしばらくフォニックス。

 

 じゃぁ、また。

 

 

 

新年度募集

2月の日曜日に、入塾試験をおこなっている。

2日は3名の小学生が受験してくれた。

9日には、中学生と小学生が合わせて3名が受験予定だ。

 

入塾案内、入塾試験、講評を通して、子どもも村上も初々しい緊張感の中で、いろいろなやりとりを交わす。それは毎年のことで、決まりきったルーティンワークであるはずなのに、なぜか、今年はそれがとても新鮮に感じられる。

29年前、福山で塾を開いた時の気分に近い。

 

いや、違う。

 

とりわけ今年特別に新鮮というわけではないように思う。

新しい子どもたちを生徒として迎えるときは、必ず、アマチュアのようにナイーブな感覚になる。

かくして、1年ごとに塾屋は脱皮し、初心にもどる機会を与えられる。

ありがたいことだ。

 

 

 

漢字検定の話

1月の漢字検定試験の標準解答が公開されて、自己採点をおこなっている。

 昨日のことだ。

 久しぶりに、小学5年生から漢検2級の合格者がでた。

 前回しくじっていただけに期するものがあったのだろう、彼女の嬉しそうな表情が印象深かった。

 「4級の壁」(知る人は知っているだろうけれど、5級と4級の間には暗くて深い溝があって、7級から順調に5級までステップアップしてきた子らが、4級で苦戦することが多い)にチャレンジした少年が二人。相互に答案を交換して採点していたところ、一人の子が合格ライン(140点)を突破。採点していた少年が本当にうれしそうに報告をおこなって、ニコニコする一方、もう一人の少年は、何度も何度も採点をやり直したあげく、私の所へ来る。

「先生、採点してください」

「君が僕のところへ彼の答案を持ってくるということは、彼の結果がよろしくなくて、自分でそれを告げるのは忍びないから、僕が宣告しろ、ということね」

「まぁ、だいたい、そんな感じです」

答案用紙をみると確かに138点、2点たりない。

少年が、自分の合格を喜んでくれている友人に、残酷な結果を告げたくないという優しい心情に、たぶん、嘘はない。いつも子犬がじゃれあうようにつるんでいるふたりだから。

ニコニコ少年と優しい少年の間に漢字の実力差があるか、と言えば、ほぼない。過去1年を振り返って、それは確かなことだと言える。しかし、試験結果は、今回、明暗を分けた。まぁ、そういうこともある、というしかない。

 次の結果(6月)、次の次の結果(8月)と、漢字検定試験は延々と続いていくのだから、一回ごとに一喜一憂するべきではない。反省するべきところは反省して、またチャレンジすればいい。

 私たちが、求めるべきは、打たれ強く、辛抱強く、向上心を持ち続けるメンタリティにほかならないのだから。

 

新年度 生徒募集のお話

新年度(3月開講)の生徒募集をしています。

すみませんが、今年も新聞の折り込み広告はしません。

ひょっとして、あてにしている方がいらっしゃったら(たぶん、ないと思いますけれど)、ごめんなさい。

 

ご連絡(メール、または℡)をいただければ、入塾案内(20分程度)をしています。

入塾案内は、平日の午後4:10-4:40

塾にて、案内書をもとに詳しくご説明いたします。

日時の都合の悪い場合は、ご相談くだされば時間調整いたします。

 

新中2、新中3の学年は募集していません。

定員いっぱいです。

あしからずご了承ください。

募集中のクラスは、新小4、新小5、新小6、新中1、新高1、新高2、新高3です。

 

小学生のクラスは、中学受験を想定しています。

新中1のクラスは、中学受験未経験者も、やる気のある人は歓迎しています。

高校生もやる気がある人ならOKです。

ただし、全クラス入塾試験(2月の毎日曜日、詳細はお尋ねください)があります。

 

LEC進学教室は、福山で誕生して29年目を迎えました。

いまだに、あきらめ悪く発展途上です。

成熟を拒否しているわけではありません。

不器用に愚直に励んでいます。