Toys are us.

 ってな楽しいお話をうかがいましたが、続きは、明日。
 今夜は、遅いので店じまい。
 
 [一夜明けて]
 小5の社会で「トイザらス」の話がでた。何の流れでそんな話になったのか、先週のことなので記憶にない。とにかく、その場ででてきた疑問は、「トイザラス」って、そもそもどういう意味か?発音するとき、アクセントはどこに置くか?子どもたちは、「ト」の上に置いて発音するという。僕は「ザ」の上に置いていた。そこで、「トイザラス」にきいてみよう、ということになった。NTTの104で「トイザらス」本社の「お客様相談室」の電話番号を調べた。

 もちろん、「遊び」半分、「学習効果」半分、である。わからないことは、そのままにしない。大概のことは、調べれば簡単にわかることが多い。インターネットが最強の武器だが、それでダメなら、電話して尋ねる。電話して尋ねるときは、どうすればいいか、実際に大人が電話して尋ねるときの様子を見せてやるのが一番。挨拶の仕方、切り出し方、確認の取り方、お礼の言い方、目の前で見て、聞いて、覚えていくのが一番だ。

 で、昨日の授業冒頭、小5の17人の子どもたちが、いったいどうなるんだろう、という雰囲気の中で、携帯電話から「お客様相談室」に電話した。電話に出たのは、落ち着いた雰囲気の、低いけれど滑らかな声で、実務に長けた話しぶりの女性、ひと声聴いた瞬間「これはうまくいく」と直観。簡単に自己紹介して、すぐに本題を切り出した。

 「それはそれは、わざわざ遠くからありがとうございます。[トイザらス]という社名には、意味がございまして、英語で、TOYS ARE US. の ARE が R に省略されたものでございます。」
 「ああぁ、なぁるほど。A-R-E が R になったんだ。へぇー。」
 「そうでございます。手前味噌でございますが、このRが鏡文字(左右逆)になっていますのは、非英語圏の幼児たちがRを覚えるときに、よく逆に書いてしまうことが多ございまして、そうした子どもたちのための場所、という意味で、、」
 「象徴的に、R を故意に逆にしたわけですね。」
 「そのとおりでございます。遠いところ、長くなって申し訳ありませんが、日本語の社名では、その鏡文字のRを表すために、Rのところだけ「ら」のひらがな表記をもちいております。」
 「いやぁ、奥が深いですねぇ。よくわかりました。ところで、アクセントなんですけれど、どこにおくんですか。」
 「私どもは、[(ト)イザらス]と発音しております。」
 「トのところに置くんですね。わかりました。どうもありがとうございました。おーい、みんな、お礼を言って!(ありがとうございましたぁ)。」
 「まぁ、楽しそうな塾ですね、どうも失礼いたしました。」
 「いや、本当にありがとうございました。よくわかりました。失礼します。」

 そのあと、TOYS ARE US. の日本語訳、鏡文字の意味、「レオナルド・ダ・ヴィンチも鏡文字を書いていたんだよ」とか、いろいろ、解説、補説をして、ちょっとしたイベントが終わり、算数の授業にもどった。

 このクラスでは、以前にも、福山動物園に「サル山」があるかどうか、問題になって、福山動物園に電話をしてきいたことがあった。言ってしまえば、「どうでもいいこと」なんだけれど、ふと見つけた疑問は、どんな疑問であっても大切にし、探究して解決する精神を子ども時代に養うことは重要だと考える。そして、そうした機会をどんどん作ってやることは、子どもの成長に積極的に関わる職業人の義務だと思う。

 もっともらしい大義名分はともかく、疑問の解決ほど楽しいことはない!って、僕自身が思っている。子どもをだしに、いい気になって遊ぶなって言われたら反論できません。僕にとっては、「遊び」の範疇に入る事柄に違いない。何の準備も要らない。何の工夫もない。塾屋の活動から逸脱している可能性はある。子どもによっては、何の教育的効果もない場合もあるでしょう。もっと地味で基本的だけれど、ないがしろにできないこともたくさんあります。だから、こうした思いつきは1学期に1回くらいが、常識の範囲内かしら。0でいい、という意見もあるでしょうね。でも、僕はそうは思わない。やっぱり塾は楽しくなきゃいけない。
 生意気ですけれど、そう思います。