彼らは出撃した。午後7時36分。

 例によって、明日、受験の小6の児童たちは躁状態。
 ピクニック気分で塾をあとにした。
 冬期講習からはじめて、二週間ばかりの適性検査対策だったが、実に見るべき成長を遂げた。「てにをは」すら怪しかった子どもらが、論理的に見事に整合性のとれた文章を書き、小粋に表現を決めてくれる。
 市立福山中学2年生のSさん、N君、1年生のT君、LECの先輩として貴重な助言・忠告をありがとう。君たちの心のこもった支援がなければ、彼らがこうも短期間に、見事な成長を遂げ、自信をもって試験に臨むことは不可能だったろう。彼らにかわって感謝します。
 もちろん、次々繰り出される課題に真摯に立ち向かい、僕から皆の面前で講評(罵倒)され、鋭く欠点を指摘されても、くじけず、書き続けた小6の受験生たちこそが、讃えられるべきであろう。子どもたちの鮮やかな知的飛躍を、こうも愉快に目の当たりにできるのだから、塾屋とはつくづく幸運な職業というべきだ。やればできるではないか。
 堂々とし、礼節にのっとった面接の受け応え方ひとつにしても、ふだんの幼稚で野蛮で無神経な姿からは、とても想像がつかない。
 やっぱり子どもはすごい。一面的な見方ではとても推し量れない。衝動的に、「日本の未来はあかるいぞぅ!」と叫びたくなる。彼らは中学受験を通して際立って逞しく育っている。塾屋の感じているこの幸福感が、どうかこのまま増幅されていかんことを。