無事、帰還

 汗だくのリトル・ギャング・スターズの凱旋、おそらく小走りに帰ってきたのだろう。聞けば、水平に近い発射を三回やってきたとか。一緒について行ってやれば、垂直発射のあの感激を与えてやれたかな、とチラッと思ったけれど、彼らの満足そうな表情をみて、いらぬお節介であろう、と思い直した。
 やれやれ、これでやっと宿題をひとつ果たした。行動力に長け、仲間意識の強い子達であったのでできたことで、いつも今回のようにうまくいくとは限るまい。何年かに一度、ロケットを作って飛ばす年もあるっていうのがいい。下手に毎年行事化して、下手につきっきりで指導したりすると、このアナーキーで猥雑な熱気は確実に消え、妙にお行儀よく、妙にこぎれいに規格品のようなロケットはできても、何度壊れてもその場で修繕し、打ち上げるためなら走ってでも行くという、十代の少年にしかないたくましさはは絶対に生まれないだろう。