適性検査演習

 課題は、北島康介選手が小学校六年のときに書いた作文を読んでの感想文。ある子どもが、自分の学校であった音楽発表会のエピソードをいきいきと書いていた。
 練習に不真面目な子もいるなかで、ピアノを弾く子が熱心に練習していた。とても上手な子だから、そんなに練習する必要はないはずなのに、どうしてそんなに練習するのか不思議に思って尋ねたところ、「みんなで合奏するから、一生懸命練習しておかないと、美しい音楽にはならないから」とこたえた。私は感心し、一生懸命練習する大切さを学んだ、云々。
 見事に決まったセリフに「これって君の創作?」ときくと「はい」と素直にうなづく。ハレルヤ!
 もともと文章力のある子が、さんざん練習してくると、きれいなおとしどころで、きれいにまとめる、妙な技、いや、芸を身につける。たぶん、この子は度胸もあるから、中学入試の本番でも、臆することなく、がっちり創作して一気に仕上げてくるだろう。去年もそういう子はいた。芸に溺れるものは、芸に滅ぶ。諸刃の剣で、奨励するわけにはいかない。窮余の一策、最終兵器としてなら使用可、という態度をとってきたけれど、きょうの完成度は実に見事で、これだけ書けるならやってみろ、とけしかけたくなる気持ちもある。
 たかが中学入試。もっている才能を存分に発揮すればよい。わくわくどきどき、目一杯楽しんでやってくれ。