学友祭、その後

 軽音楽部の生徒が言った。
 「先生、来てくださってありがとうございました。あの直前は、パンク・ロックの演奏がもとで乱闘騒ぎになったりして大変だったんです。それに演奏していたとき、実は一弦がきれていて、それもたいへんでした。」
 僕の撮っていたデジカメの動画で、いよいよリードギターの彼がソロ演奏に入ろうとする場面になると、「もうこの先はいいです」と照れてくるっと背を向けた彼の含羞が実に新鮮だった。
 理工物理部の生徒が言った。
 「先生、おかげさまで理工物理が賞をとりました。先生の横にいた少年は、実は三十分以上も待たされていた子だったんです。だから、横から操作したのも許してあげてください」
 展示室で、鉄道マニアの彼が作った鉄道模型を僕が走らせていたとき、割り込んできた少年のことを説明するために、彼はわざわざ時間をつくって説明に来た。そんな少年のいたことは何も覚えていなかった。彼のやさしい人柄にあらためて感心した。

 因島まで、しまなみ海道を走っていて、たくさんの筋雲をみた。三日後は雨か。しっとりと雨音を聞きながら、ぼーっと本を読むような午後が欲しい。