ん?土曜日だったの

午前8:20
小6と中3の生徒らが小走りに集まってくる。
風邪でダウンした子が、ひとり、ふたり、、、。ちょっとなぁ、プランとプラクティスに無理はなかったと思うけれど、ちりちりとした焦燥感を感じる。そうは言っても今さらどうにもならない、開き直っていく。みんな頑張れ!

午前10:10
小6は、算数特集。速さの演習。「速さと差集め算」にはいいものを見せてくれたけれど、基礎基本の怪しい子らに「流水算」を徹底的に特訓。02の中3の生徒たちが休憩時間に笑う。「先生、相当来てますね」「もうぉぉぉぉ」と牛のようにうめいた。

午前11:45
小6は依然として算数特集が続く。難行の末、きょうの課題を克服できた生徒が4名。残りは満足のいく結果を示すことができずに、何度もプリントを突き返され、徹底した間違いなおしを強いられている。あきらめる子、投げ出す子に、粘り強く取り組むことの重要性を文字通り手取り足取り教えている。考え抜く習慣は一朝一夕に身につくものではない。働きかけ、気づかせ、成功させ、さらに挑ませ、さらに鍛え、さらに成功させ、、、、連続的に達成感を積み重ねていくか、非連続的飛躍を待つか、子どもによるけれど、いずれにしても、あきらめては終わり。何度でも何度でもやり直しさせる、たとえ1001回目でになっても。

午後2:40
昼からの演習。
小6は、僕が03教室に引っ込んでいる間に、自分たちで準備を整え、タイムキーパーを決めて、自主的に演習を開始した。見事なまでに自主的に統率された行動に拍手!
LEC17年目の快挙、と呼んでよい事柄ではないか。

中3は、きょうも昼から1名減。ランチのあとの顔色が異常に悪いので、
「お前、ひどい顔色、人相悪すぎ!」
「いつもです」
「(笑)いや、まぁ、それはおいておいて、帰ったほうがいいんじゃないの」
ということで、帰宅命令。いつもは、ほっておけばマシンガン・トークの止まらない少年が、妙にむっつり黙りこくって、見たものに目をそむけさせる尋常ならざる目つきをしていたら、ねぇ、、、「帰れ!」って言いますってば。

午後5:50
静かに日は暮れて、走る自動車の数はいつもの土曜日の夜並。お正月三日目といったハレ感覚はかけらもない。非正月的生活にはまっているくせに、世間様に正月らしい風情をもとめる矛盾した気分がどこかにある。
今から20数年前、独身のころ、この時期に「正月特訓」と銘打って、東京の一隅の塾で授業をしていた時は、背徳感とそれに付随する気負いや覚悟をもって臨んでいたように思う。人通りの激減した通りや、吉野屋しかやっていない飲食店、という街景色の中で、子ども相手に受験指導することに、犯罪者めいた緊張感があった。
それだけに、せっかくやるんだからという理由だけで気合を入れて、肩に力の入った入れ込み授業をしていた。しかし、こちらが熱くなればなるほど、生徒の反応は悪くなって、たいがいは空回りに終わっていたように思う。結果として悲憤慷慨し、陰々滅々、授業終了後、中央線の駅のプラットフォームに立って、「俺は何をやってるんだろう」とすさんだ気分になることが多かったように思う。
今では「正月特訓」という言葉自体が僕の中では死語と化し、淡々と枯れて(生徒からすればそうでもないかもしれないけれど)、思い惑うこともなく、必要な学習を必要に応じてやっている。

生徒たちにとって実り多い三日間であったらなぁ、と思う。

午後8:40
本日も、また、最終ラウンド。センターリハーサル。
昨日はひとつしくじった。生徒に195点が2人いたから、僕とほぼ同等の点数と言うことになる。喜ぶべきか、己の愚かさを呪うべきか。

昨夜、帰宅してから、
「箱根駅伝負けちゃったよ」と言うと、妻が
「馬鹿ね、あれは喜ぶべきことよ、ゴールデンルーキーの出現を祝うべきよ、中継を見ていて、歴史的瞬間に立ち会ってるって鳥肌がたったわ。早稲田の子とはもう格が違うから、比較できる次元じゃなかった。解説の今井さん(「山の神」と呼ばれた5区の前最高記録保持者)が絶賛してたもの」
「やっぱりそうかぁ、凄かったんだ」
「凄いも何も40秒も区間最高記録を更新したのよ、まだ1年生よ。スポーツニュースを見れば。テレビでやってるでしょ、あれは見るべきよ」
「いや、いいって、ネットの動画で見るから」

僕たち家族には、色々思い出のある、宮の下の富士屋ホテルや、芦ノ湖畔の箱根駅伝ミュージアムが映っていたこともあって、昨夜は箱根駅伝の話題で我が家は盛り上がってしまった。
きょう総合優勝も東洋大がもっていった。早稲田にもチャンスがあっただけにくやしいけれど、不祥事を乗り越えて初優勝をなしとげた東洋大駅伝チームは立派だったと思う。監督代理の指示にも従わず、オーバーペース覚悟で飛ばしまくった柏原君のガッツを見習いたい。
今井さんがどこかで、「恐いもの知らずの勇気」と語っていたけれど、ごちゃごちゃ計算しないで、ドーンと勢いだけですべてをひっくり返す若さは、本当に気持ちいい。真似ができないだけに圧倒される。
暗い世相に吹いた一陣の涼風、そんな気分。