快晴・英検・附属対策

午前9:00
 8:30集合にわずかに遅れた。朝、食後に、娘に頼まれた和文英訳を添削していたことが原因。僕の作った模範解答、bearの過去形をbearedにしていて、娘の指摘を受ける、ニャロメ。朝から冴えない。

 小6が例年通り市立福山中・受験談でもりあがった。いっぺんに十字砲火を浴びて、多元チャンネルで聞き取ろうとするのだけれど、どいつもこいつもまだ興奮冷めやらぬ勢いでしゃべるしゃべる。
「面接の両端にいた先生が不気味だった。ひとりは、ちっちっちっちって言うし、ひとりは誰か何か言うと、はぁーってため息つくし、あれ何」
「わたしは、引率のお姉さんに教室を間違われて、ひとりで探した」
「検査1が難しかった。電池の配線とか、空欄ができた」
「バラ公園のバラの本数の問題も難しかった」
「緊張してて、マラソンの問題で計算間違いした」
「携帯電話の話は、隣りの子に回答を真似された」
「失敗の話は、つっこみが来たけれど、リターンエースを決めて、ヨッシャー、他の奴にはできねぇだろうって思った」
「わたしもつっこみ来たけど、うまくかわせた」
「検査2は簡単だった」
「スピーチ原稿って、最初と最後に挨拶があったほうがいいですよね」
「弁当の時間がうっとうしかった、話しかけられてうざかった」
 などなど三分の一も聞き取れなかった。小学生の超高速無秩序自己中心的支離滅裂断片発言の暴風を朝からまともに喰らった。今は落ち着いて対附属用の小テストに一心不乱に取り組んでいるから、すっきりしたのだろう。昨日の試験は、僕の思い描いていた戦略とはずいぶん異なる展開ではあったけれど、受験なんてそんなもの、彼らがよく敢闘したと褒めておこう、練習してきた甲斐はあった、翌朝ちゃんとやって来るのも立派だ。たかが中学入試、なにほどのことがあらん。精一杯やった、だったらそれでいい。次だ、次をやるぞ。

午前10:00
 英語検定試験開始。
 集合時間にぴたりと全員そろって、うん、気分いいぞって思っていたら、遅れてブラァっとひとり登場。やや、4級受験者が1名超過。「うわぁっしまったぁ、そうだよ、こいつ再受験するんじゃん」どうしようっと思ったけれど、とりあえず英語検定協会に電話。しかし話中でなかなかつながらない。ホント、今朝は冴えないことばかり、、、。と思っていたら、落ち着いた深みのある男性の声で応答があった。耳にした瞬間、あぁなんとかなるな、と、直感。予想通り、スムーズに話はつき、ご厚意で手続きが整った。やれやれ、危うくハードボイルド・ボーイに嫌な思いをさせるところであった。事前の確認を怠った僕のミスだった。生徒には、「確認!確認!確認!必ず確認しろ!」って言ってるくせになぁ。

午前11:40
 午前中の英検は終了。なんだか、みんな仏頂面で退席してゆく。大丈夫かね、おいおい。小6の演習もみなきゃいけないし、突然やってきた中1ギャングスターズの世話もしなきゃいけないし、感想を聞く暇もなく、4級も準2級も散会。
 去年の1月だったか(検索すると1月22日)、「世界同時不況」が始まったような気がする、とブログに書き込んだ。1年たって、まさにそのど真ん中にあるのだけれど、企業倒産、失業者増大、政府の無策、、、村上龍の「愛と幻想のファシズム」の世界が目の前にあるようだ。もともと湯浅誠の「反貧困」を読んでいて、やりきれなくて「愛と幻想のファシズム」を手にとったら、とんでもないアンチ・ヒューマニズムが悪魔的におもしろくって、毎晩睡眠時間を削って読んでいる。ちょっと困ったことだけれど、湯浅氏の失業者・路上生活者支援より、カリスマ・ハンターのファシズム称揚論が心に響く。ただTVの「カンブリア宮殿」でインタビュアーをしている村上龍氏は、経済界にいいように利用されているようにしかみえない。とりわけカルロス・ゴーンがやってきた時の、自動車業界べったりの発言は感心しなかった。いずれにせよ、僕にとって、この経済不況は、湯浅誠と村上龍をどう捉えるか、という問題を生んだ。

午後3:30
 どうでもいいようなことを書いていたら、午後、またしても受験者数の超過。3級が1名オーバー。「あれぇ、なんでぇ」と思ったけれど、あとの祭り。恥をしのんで英語検定協会に電話。手続きをお願いする。実に情けない、、、。日本全国広しと言えども、午前と午後に各1名ずつの追加をお願いするヘボな塾屋はうちだけだろう、、、。陳謝。
 大ポカを二つもやったけれど、とにかく、英語検定試験は終了。答案をコピーして明日の自己採点に備えて発送すれば終わり。今は、何をしでかすかわからない危険な状態だから、慎重にことをすすめよう。
 中3・Tの附属対策。ひとり孤独によくやっている。どの科目も満身創痍で、ボコボコにされているけれど、泣き言も言わず黙々と励んでいる。彼のいちばんよいものが出ている。なんとかしてやりたい。
 小6・ヤギの附属対策、規則性の問題でまたも苦戦、移動する図形でも苦戦。国語はよい感じだったけれどねぇ。あと1週間、まだやることが一杯あるぜ。
 明日からの学校生活で、とにかく、風邪を引くな、インフルエンザにかかるな、と念を押しておいた。早寝早起き朝ごはん、手洗い・うがい・マスク着用、を義務づけた。風邪をひくのは入試が終わってからにして欲しい。
 
午後4時30分
 西日がさす。夕暮れに風はない。
 塾には、高3ガールズ3名と、中3・T君と僕。BGMは、Les Freresの「エンドロール」。軽快なピアノにあわせて僕は事務処理。Tは頭を抱えて、東アジア地誌にとりくんでいる。05の彼女らは小川洋子の世界の住人のように静謐な空間で入試問題に取り組んでいる。なんか泣けてくる。おっと、よろしくない。これは自己陶酔。どうも、きょうは冴えない。
 
午後9:30
 中1の英語。彼らは午前中は、英語検定試験を受けにきていた。ちょっと気の毒な気もするが、年にそうそうあることでもない。どうか、勘弁してもらいたい。
 ラスト5分、小テストを見守る最中に意識がぶっとんで、しどろもどろで解答してそのまま03のソファでダウン。眠くて眠くて目が開けられなくなった。たぶん、イビキをかいて寝たに違いない。
 ふとした偶然で、奇跡的に中3の社会の時間に意識をとりもどし、無理やり「リポD」を口に流し込んで授業復帰。タウリン1000mgと無水カフェイン50mgだけで立っている気分。とにかく2時間持てばいい。あとは野となれ山となれ。

内申のない二人は明日も強制召集。
「中1・中2の時にやりたいほうだいやったんだから仕方ないじゃない」と言うと、モッチィが苦笑い。ところが、シターモは、まるで、わが中学生活に悔いなし、と言わんばかりの表情。感想を求めると
「悪いのは国語だけですから」と返事。いや、君、国語は悪くないよ。力はある。ただ、しぶとくない、あきらめがはやすぎるだけ、と言うと、
「いえ、45点とか、悪いですよ」と悔しそうに言う。ふーん、と聞いておいた。たぶん、人より時間がかかることを素直に受け入れて、時間をかけることを厭わない粘着力をもうちょっと鍛えれば、一皮むける。敢えて言わせてもらえば、自我の確立がもう少しすすめば、たぶん、迷いなく時間をかけて成熟する道をあゆめるようになるだろう。どこかでね、放棄しているのだと思う。探索し、探求し、省察する精神的営みをね。周囲の干渉がもう少し逓減していけば、きっと君は君のなりたいものになれる。

 02でターナーはひたすら附属対策。「明日、平成18年の問題やるから」と言うと、「学校があります、全部できますか」と言うので、学校が終わったら、すぐに来る。親に頼んで、お結びを用意してもらっておく。二科目すんだら、お結び食べて、残り二科目をやる。間違いなおしまで十分終わる。わかった?「わかりました」学校で無駄にエネルギーを浪費するな。「わかってます、大丈夫です」学校が終わったら風のように帰宅して塾に来るんだ。「はい、いつもさっさと帰ってます。でも塾に来る途中で事故ったりして」馬鹿者、頼む、そんなことにはならないでくれ(笑)

 なんとか終わりまで完走した。きょうも長い日曜日だった。
 みんな良くがんばった。
 では、明日もがんばろう。