昨夜は岡崎君が来てくれた。

彼は、NHK入社2年目のアナウンサーで福島放送局に勤務している。
東日本大震災を福島の人間として、また報道人として経験した。

震災直後から、絶え間なく続く余震の中、被災された方々への情報提供を続け、時に凄惨な被災現場の取材に慟哭することもあった。

彼が企画し、リポーターを務めたラジオ・ドキュメンタリー「遠いふるさ〜フクシマの家族・2011」は昨年9月のNHK中央放送番組審議会で非常に高い評価を得た。以下は、その引用。

「ラジオで非常によいドキュメンタリーがあった。8月10日(水)の「遠いふるさと〜フクシマの家族・2011」(ラジオ第一 後8:05〜8:55)という福島局制作の番組だ。3月12日に避難指示を受け、福島県大熊町から避難したある家族の苦労の日々を追っていた。40代の夫婦、障害のある長女、高校生の長男、中学生の次男など7人の家族が原発を逃れ、慣れない土地で周囲の人に助けられながら、どのように暮らしてきたか。被災者の悩みを丁寧に拾い上げていた。こういう形で、ラジオでイメージを膨らませることはすばらしいと思った。映像にはないドキュメンタリーのよさがあった」

広大附属福山高校出身の小野アナウンサー(「ためしてガッテン」司会者)からも「感動した」旨を伝えるお手紙を個人的にいただいたそうだし、NHK内で賞も授与されたそうだから、出色の出来栄えであったのだろう。

残念なことに、その番組を私は聞いていない。
ただ、次のことは確信をもって言える。岡崎君の人となり、報道人として覚醒した意識からして、被災した人々に寄り添い、心の痛みを分かち合う姿勢が番組の基調となっていたことだろう。そして、明日への希望をともにさぐる営みとしてつくられた番組であったろう。

誰かを辛辣に批判するのでもなく、何かを声高に主張するのでもないからこそ、多くの人々の胸をうつ内容になったのだろう。

空疎な言葉が無意味に消費されるマスメディアの在り方に、一石を投じる番組であったろう、と思う。

昨夜は、ほんの2時間ほどのおしゃべりだったけれど、心に深く静かに余韻が残る時間になった。大きく成長する教え子にまた大きく教えられた一夜であった。



明日で冬期講習が終わります。
平常授業再開は、11日からです。

では、また。